第一章 どうも！西賀建設です！ ページ3
ミーンミーン、と蝉の声が聞こえてくる夏の季節が到来した。
この日は、かき氷が食べたくなるような茹だる暑さの中を手提げカバン一つ持って歩いていた。
なぜなら、つい先日破壊してしまった寮の窓を直すためである。旧館といえど学校の所有する建物だからね。
幸い大工の家系だからちょっとしたものならすぐに直せる。昔はレーザーで鉄を溶かして別の鉄に取りつけて遊んだな〜。
「やっと着いた〜。あー暑かった」
目の前に聳える、通称おばけ屋敷寮のドアを開ける。一応大声で、「こんにちはー！破壊した窓を直しに西賀が参りましたー！」とは言った。
「お、A！よく来たな！」
廊下の奥から燐が、サイダー味のアイスを食べながら現れた。
「めっちゃ暑かったわ〜。でさ、早速作業に取り掛からせてもらうな」
「え、さぎょう？何の？」
近くまで来た燐がキョトンとしたカオをする。
「あ、燐知らんかったか。実はな、強化合宿で2回目の屍襲撃のときに私、外伝いに隣の部屋に侵入するために窓破壊したんよ。だから今日はその窓を直しに来たんじゃ」
「マジか」
「うん。じゃあ上がるね〜」
「おう、上がってけ上げってけ。ついでゴリゴリくん食うか？箱で買っててさ」
「ええの？もらう〜」
会話しながら壊れた窓がある部屋へ向かう。
因みに燐とは食堂で別れた。
「ちょっと時間かかるからなー」という声がキッチンから聞こえたのは、他にも何か用意するってことなのだろうか。
ふむ。まあいいか。
さて、窓壊した部屋はここだったかな。
「ガチャッと開けまして、開けっ放しにしてさあやるぞ」
靴を脱ぎ、窓枠からぶらーんと下がる窓が辛うじて繋がる蝶番に残されたネジをバックの中から取り出したドライバーで全て取り除いていく。
こうして2枚の窓、4つの歪な形の蝶番が床の上に並べられることとなった。
「蝶番も持ってきて良かったな。ほいじゃ、パパッと直しちゃいますか」
ホームセンターで購入した新しい蝶番とネジとを使って窓としての機能を取り戻すぞ！
「よし、これでいいじゃろう」
かかった時間はざっと15分。前より頑丈になったはずだ。
開閉を繰り返し、異常がないのを確認する。
すると背後で燐の声が聞こえた。
「ゴリゴリくんとパンケーキの到着だ！」
「え！ありがと〜！」
おばけ屋敷寮窓直しー完了ー
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作者名：猫叉 | 作成日時：2021年4月13日 21時
