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とはいえ、三日もすれば体調は割と良くなった。数ヶ月前にかかっているから、多少の免疫はついたらしい。
なら何故今罹ったのだと不満だったが、罹ってしまったものは仕方ない。大人になって割り切ることにした。

「はい、お電話承りました。神風です」
『もしもし!神風ちゃん?』
「え、あ、す、菅原先輩……?」

なのでインフルエンザ発覚から三日目の夕方に、見知らぬ電話番号からの電話を受けて驚いた。菅原先輩が電話の先で笑ったのが分かった。

「ど、どうされましたか」
『どうしたっていうか、心配だったからさ〜。影山から聞いてかけてみた。今あいつ勉強中だし』

どうやら月島くんはきちんと彼らの面倒を見てあげているらしい。一昨日息も絶え絶えになりながら電話をした甲斐があった。そうでなくても谷地さんが力になってくれると思うけれど。

菅原先輩はいつも通りの柔らかい雰囲気のまま続ける。

『それで、具合は?大丈夫そう?』
「あ、は、はい、もうかなり……ご心配をおかけして、すいません」
『そこはありがとうだべ?』
「あ、ありがとう、ございます」
『素直でよろしい』
『神風さんっすか?』
『そう。代わる?』
『いや!?いいッス!』
『恐れ多いッスマジで!』
「わ、私、何だと思われてるんですか、西谷先輩と田中先輩に……」

彼らは私を潔子先輩と同一の存在だと認識しているのだろうか。案外私が一人の時は話しかけてきてくれる明るい先輩なのだが、電話は駄目らしい。基準が全く分からない。

『今スピーカーにしたよ』
「えっ、は、はい」
『ほらお前ら頑張りなー』
『神風さん!?』
『そこのチビ、ノート見な!』
「日向くん、元気ですね……月島くんは、大変そう……」

思わずポツリと呟くと、くつくつと笑われる。菅原先輩は携帯を持ち歩いたまま皆さんに「神風ちゃんに一言どうぞ!」と言って部室内を回っているらしい。日向くんの賑やかな声が右から左に移動した。

山口くんの心配した声、東峰先輩の慌てた声、澤村先輩の落ち着く声、縁下先輩の呆れた声、木下先輩の戸惑った声、成田先輩の優しい声、田中先輩の騒がしい声、西谷先輩の頼もしい声、菅原先輩の楽しげな声。

『神風』

影山くんの、嬉しそうな声。

「うん」
『寝てろ』
『お前今それ?』
『もっとあっただろ!』
『不器用が過ぎるぞ!』

影山くんのその一言でわっと盛り上がる部室内に、思わず笑ってしまった。やっぱり私は烏野が好きだ。

「うん、心配してくれて、ありがとう」

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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ReG | 作成日時:2022年3月22日 15時

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