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影山くんに背負われて帰ると、相坂さんが玄関の前でからからと笑って私を迎えた。
「そんなことだろうと思ったっての」
それを見てふっと意識を失った私はそれ以降の記憶はないのだが、寝ぼけ眼で手に握られていた影山くんのジャージを見て飛び起きた。記憶がない上影山くんのジャージが私の手の中にあるのだ。どうして！？と叫びそうだった。
私の熱はまだ下がっていないし体調も悪かったので、本日はお休みさせて頂くことにした。残念だが、こうなった以上はゆっくり直すのが最優先だ。昨日縁下先輩に言われた通り、私がいないと駄目な訳じゃないのだから。
ということで、迎えに来てくれた影山くんに電話をかける。まさか対面で話す訳にはいかないので、妥協案だ。散々大丈夫かと心配されて、気を遣わせてしまって申し訳無かった。
部屋にあったジャージについて聞くと、
「お前が全然離さなかったから、置いてきた」
とのことだった。恐らく寝たあとも彼の背中を掴んだままで、無理やり剥がすのもどうかと遠慮した優しい彼は、そのままジャージだけを脱いで帰ったのだろう。本当に申し訳なくて謝るばかりだった。
「ごめんね……日向くんにも、謝ってたよって、言っておいて」
「自分で言えよ」
「私、彼の携帯、知らないから……」
「……分かったから、寝ろ」
影山くんは少し柔らかくそう言った。怒ってもいないし、迷惑だとも思っていないと言うような声に、素直に「うん」と返した。もしかしたらインフルエンザではない可能性もあるし、早ければ明日明後日に復活できるかもしれないのだから。
「インフルエンザですね」
しかし願い虚しく、自己診断と同じ診断結果をお医者様から告げられ、見事一週間のお休みが決まってしまった。お医者様も、まさかこんなに短いスパンで、しかも夏にインフルエンザにかかるなんてと驚いていた。私もそう思う。
ということで、部屋に戻り隔離され、本を読みながら一人寂しく療養することになったのだった。電話は使えるけれど、かける人はほとんどいない。
寂しさに耐えられない訳では無いが、部屋にある影山くんのジャージが部活や学校を思い出させるのだ。なら目に入らないようにすればいい、と思うけれど、何故か近くに置いてしまう。
「……いやいや」
私は変態ではないので、影山くんの匂いがして落ち着くとしても、人様の服を嗅いだりはしない。近くに置いたジャージを慌てて椅子の上へと畳んで置いた。何してるんだろう、と布団に潜る。
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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (
レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ReG | 作成日時：2022年3月22日 15時
