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「あ、き、金田一くん、私、今日は送ってくれなくて大丈夫だから……」
「そうか？」
「何か予定あんの？」
「うん、お勉強を教えに、図書館まで」
「神風さんに教わるなんて贅沢な……」
影山くんに、というと彼らの表情が曇ると思ったので、名前は出さずに告げる。分かった、と頷いてくれた金田一くんと国見くんを見てほっとする。
今日で青城に来るのは最後になる。練習後に選手たちが一列に並んで私に頭を下げてお礼を言ってくださったのだが、そこまでされるようなことはしていない。恥ずかしくって顔を真っ赤にしたまま、私も頭を下げた。
「二人とも、色々ありがとう」
校門で彼らと別れる前に言った一言に、二人は「おう」といって爽やかに笑った。そして私と別方向に歩き出したのを見て私も公園に向かって歩き出す。イレギュラーな五日間だったけれど、楽しかったし学びになった。
「あ、影山くん」
「あ……！？」
「は、はあ〜！？」
「えっ！？」
公園につく手前で影山くんが見えて、彼を呼ぶと同時に彼が私を認識して目を丸くした。私が眼鏡を外しているからかもしれなかったが、私の後ろから聞こえてきたその声に向けてのものだとすぐ分かった。
肩を跳ねさせて振り返ると、及川さんが鬼の形相で影山くんを睨んでいた。かなり怖くて背筋が伸びた。
「神風、こい」
「飛雄にやるわけないでしょ！」
ほぼ同時に手を掴まれて身動きが取れなくなる。そのまま引っ張られたら腕が取れてしまいそうだ、と内心怯えていると、彼らはわっと私に向けて口を開いた。
「神風ちゃん、聞いてないけど！何で飛雄！？」
「眼鏡外すなって言っただろ！」
私にそう言ったかと思えば、次の瞬間にはお互いを睨みつける。
「……及川さん、離してください」
「お前が離せよ、この細腕が折れたらどうすんの？」
「ど、どちらも離せば、いいのでは」
とりあえずこのままだと本当に引っ張り合いになってしまいそうだったので、どうにか言いくるめて二人の手を緩めさせる。怖かった、とドキドキとなる心臓を深呼吸で落ち着けた。
「い、言ってないので……影山くん、というワードを出すだけで、き、機嫌悪く、なるじゃないですか。め、眼鏡は色々、事情があって……約束はしていないから、許して」
それと私を挟んで喧嘩をするのはやめてほしかった。圧が凄い。ここからどう穏便に済ませよう、と考えた瞬間、救いの声が飛んできた。
「及川」
くいっ、と顎で指示を出す岩泉さんに、彼等は黙った。
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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (
レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ReG | 作成日時：2022年3月22日 15時
