あの女の子は、な組の...【stpr】

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Aside


奏「君は？ﾆｺﾆｺ」


目の前の若頭...黒澤奏がニタニタ笑っている。

コイツ、もしや男か？


声も中性っぽいし...。



あーあ、男ならころんに任しとけば良かった。

こういう系男子って無理。



となると、こっちも色々偽らねば。



『...僕は篠原玲葉。よろしくする気はないけど。』
奏「玲葉ちゃんって言うんだー。可愛ーね。」
『...どうも。』


何、コイツ。

さっさと殺れよ。相手してやっから。



奏「お茶、飲む？」



何言ってんだよ。
もう、こっちから切り出すしかねぇ。



『あのさ...奏さん。』
奏「あっ！やっと名前呼んでくれたー。
で、なに？」
『僕さ...




...な組の一員なの。
アンタを殺りに来たんだよ。』

奏「...な組...」



一瞬だけ彼の横顔に影がかかる。





『だから、銃出して。
正々堂々と勝負しようよ。』


こういう風に話されたらね...。
却って殺りにくい。

ほら、早く...



奏「銃だなんて物騒な。もっとお話しようよ！
玲葉ちゃん...僕のこと、知ってるでしょ？」


は？ちょっと...妄想の行き過ぎな気が...


『何言ってるわけ？証拠なんてあるの。』
奏「だって僕...








･








四宮グループを追い出された組員だもん。
つまり、君のお兄ちゃんってこと。


A。」





『...ッ...』




そう言って、奏は部屋の奥から白いフード付きパーカーを出して、羽織った。

その姿に見覚えのある自分が、憎い。





奏「見てよ。Aが買ってくれたパーカー。
僕、ずっと大切にしてたんだ！」



煩い。



奏「けどねぇ...このパーカーはいいけど当の本人はさ...
Aさえ、いなかったら僕は、次期四宮グループ組長だったのに。」


そんなの知らねぇし。




『それが何なの。アンタには関係ないから。』



銃口を奏に向けて、引き金を引く。

私の正体を知ってるヤツらは全員、居なくなればいい。





ﾊﾞｧﾝ







もうもうと煙が立ち込める中、ソイツの声は聞こえた。






奏「ｶﾊｯ...A、どうしても僕達は戦うんだね...。」





マジかよ。奏、弾に堂々と当たりやがった。

お陰で部屋には血の、生臭い匂いが充満している。





『...そうだよ。
別に、私アンタみたいな落ちこぼれを兄だなんて、思ったことないから、』


弱くて落ちこぼれ...。

この言葉を私は、何度も父親から聞かされた。



だからその分を、元凶のコイツにぶつけたんだ。





奏「そっか...」





目を伏せる奏。


ねぇ、なんで？




なんであの時と同じ顔をするの？





撃てなくなっちゃうじゃん...。

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