この世界で生きていく6《サイドストーリー編》

遭難からの鬼退治09 ページ19

リヴァイside


それから俺は返り血のついた身体を洗い、兵服も洗った。

被害者のものとみられるシャツをとりあえず着ると

「いいなー私も洗います！よく見れば泥だらけだし。」

そう言ってAも湯を沸かして身体を洗い、兵服も洗っていた。


薄い壁の向こうでAの行水の音がする。


おいおいおい。

無防備過ぎるだろ。

俺を一体なんだと思ってやがる！


Aのその姿を勝手に想像する頭を振り払い、無心で返り血のついた立体機動装置の手入れをする。



‥‥‥

Aもまた被害者の服を着て、婆を昏睡させ男の遺体が転がる部屋で普通に食事を作りだした。


「フッ」

「？‥‥なんですか？」

「人喰いとはいえ、家の奴を殺した上に家財道具を利用している姿はシュールだな。俺はともかく、大したキモをしてやがる。」

「‥‥そういえばそうですね。でも殺さなければ今頃私は鍋の中だったし‥‥生きのびる為ですけど普通の人が見れば正気の沙汰ではないでしょうね。でも、今ここにいるのは私と兵長だけですから！」


！


そうだ。これから数日はAと2人きりなんだ。

Aは熱も下がり体調も戻りつつある。昨夜みたいに意識が無い状態ではない。


‥‥‥‥‥。


‥‥なんだ、俺はこの状況を喜んでいるのか？



「さ、出来た！山芋と山菜のスープです。お口に合うといいんですけど。」


そう言ってハンジが投げてよこした非常用リュックに入っていた携帯皿にスープを入れたAは、さすがに分かってやがる。これなら飲める。


「この状況でよくここまでの料理を作ったな。」

「子供の頃はこんな生活でしたから、私にすれば普通です。だから野戦料理も得意なんです！」


そう言って笑うA、濡れた髪を１つに結び大きめのシャツを着ている姿は‥‥思わず見惚れてしまう。


『あんたの嫁さんかい？』


‥‥不意に婆の言葉を思い出してしまった。



‥‥‥‥



「準備はこれで大丈夫ですね。明日に備えて寝ましょう。」


「そうだな。‥‥お前は平気なのか？」

「もう狂気の気配も無いし、何より兵長がいるから平気です！」ニコッ


いや、そっちじゃねぇ。


お前は俺と2人きりで‥‥平気なのか？



「‥‥そうか。なら、お前はソファで寝ろ。」


「はい。‥‥詰めれば兵長も寝られますよ？」



‥‥‥お前と一緒になど、眠れるか！！！


「バカか。さっさと寝ろ！」


「は、はい！」





全く、調子を狂わされてばかりだ。







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