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【第弍拾肆話】 横浜:探偵社内:医務室 ページ31

『少女が目覚めなかったら』

敦はそんな事を考えて、闇に躯を浸けるような、恐ろしい事が起こりそうだ。と頭の片隅で思い冷や汗を出し乍ら、不謹慎だと考え頸を振る。

「……之で、躯の(・・)心配は消えた」

唐突に頸を振った敦を奇異なものを見る目で太宰が見て居た時、ふと膝丸がそんな事を零した。

小さめな声で呟いた様な声量だったが、敦と太宰にはハッキリと聞こえた。
膝丸の言葉に堀川が「……矢っ張り、そうですよね」と呟く。

与謝野が「水飲んで来る」と医務室から退出した為、又四人となった空間で太宰は膝丸の呟きを聞き返した。

「……『躯の』とは、未だ何かしらの問題があるのですか?」

治療から目を覚まないのも……まぁ問題だが、与謝野曰く
「異能力を使われて躯が疲労してンだ。まァ、深い睡眠中だろうねェ」と、疲労の為休んで居る状態らしい。叩き起す事も可能、だそうだ。

何時迄も眠って居るのは心配なので、数時間過ぎても目を覚まさなければ強制的に起すと与謝野は云った。

目を覚まさなければ、又アンタ達も心配するだろ?そう与謝野は笑った。

「……躯の傷は間違いなく癒えた。が、彼女が無事だとは云いきれない。
詳細は云わないが、『精神』の問題が解決してない。

俺達の様なものには、其方に引きずり込もうとする輩が付き纏う。
……之だけで無事とは、俺達は思って居ない」

些か敦には理解出来ない話だが、巫山戯た話でない事は理解出来た。
ぴりびりと肌を炙る緊張感が、此の話は笑い飛ばせないと悟らせる。

……本当に、此の三人は何者なんだろう。

敦には目の前に居る存在が理解出来ない、次元の違う存在だと錯覚しそうだ。
敦達は見上げる事しか出来ない、雲上の存在。

言葉にし難い空気が医務室に充満する。
誰も言葉を紡げない中、口を開いたのはずっと黙って居た堀川だった。

「……僕等だけに、してくれませんか」

重苦しい中、ポツリと零れた言葉は敦と太宰に向けられて居た。
遠慮穿ちに云って居るが、言葉には明確な意志が込められて居る。

「……そうですね、判りました。
何か用が出来たなら、事務員さんにでも声を掛けて下さい」

二つの椅子を膝丸達の前に置いた太宰は敦の肩を叩いた。太宰の瞳は「医務室から出た方が良い」と告げて居る。

「……じゃあ、僕達は事務室に居ますね」

医務室の扉に手を掛け敦は膝丸達を見る。敦の言葉に膝丸が頷き、堀川と視線を合わせた。

扉を閉める際、チリンと鈴の音が聴こえ気がた。

人無き部屋にて→←【第弍拾参話】 横浜:探偵社内:医務室



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乙女になりたい。(プロフ) - お疲れ様でした!!とても楽しい作品でした!! (2020年10月11日 1時) (レス) id: a5fb63b44e (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - あやとりさん» お久しぶりです、僕の方こそ有難う御座います!続編も合わせ、是非とも宜しく御願いします……♪ (2018年3月10日 22時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
あやとり - 焼きまんじゅうさん» ふわぁ…私こそ毎回この作品を楽しませていただいき本当にありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年3月10日 20時) (レス) id: bfcb2a7bd0 (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - はい、複数人ならば構いませんよ!リクエスト有難う御座います……☆ (2018年3月10日 20時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
優梨奈(プロフ) - 粟田口と三条(でもいいんですかね?)でお願いします! (2018年3月10日 20時) (レス) id: 7cf4248c7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:焼きまんじゅう | 作成日時:2017年10月9日 5時

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