恐怖の対象 ページ28
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後から聞いた話では、アルミンの発案で、巨人達を壁の端へ引きつけておく作戦がとられ、通常よりは犠牲者を少なくすることができたのでは……、ということだった。
さすがは頭脳明晰なアルミン、とAは思う。
こんなところで既に活躍しているとは…、と正直驚いていた。
ミカサも活躍したらしい。
なんと言っても、彼女は主席卒業の実力者だ。
あの二人も、さぞエレンのことを心配しているだろう……
そう思うと、また胸が痛んだ。
明日、時間がとれたら、少し会いに行ってみよう…Aはそう思った。
自分の持ち場へと戻ると、運よくすぐにぺトラの姿を見つけた。
「ぺトラ!戻ったよ」
「あ、A!お疲れ様」
Aに気づいたペトラが手を振った。
気丈に振る舞っているペトラでさえ、疲労の色が隠せなかった。
こんな惨状を目の当たりにしたら、無理もない。
どの兵士も目が虚ろだった。
ぺトラは、犠牲となった兵士達の火葬用の焚き木を準備しているところだった。
今日の夜に、また火葬が始まる予定となっている。
Aもそれに加わり、ぺトラと一緒に木材を運ぶ。
「…団長達との話はどうだった?」
「…うん。…伝えたいことは伝えたけど、…どうかな。今、団長と兵長がエレンに会いに向かったところ」
「…そう。……でも、実際本当に信じられないよ。人間が巨人になるなんて」
「私もそうだよ。……だけど、この目で見たしね。…ぺトラは、…怖いと思う?」
「…え?」
「…その、…エレンのこと」
ぺトラは一旦、木材を置く手を止めた。
「……そうだね。…実際、巨人化するところを見たら、怖い、と思うかもしれない。けど、エレンって、15歳の男の子なんでしょ?」
「…うん」
「それに、Aの大事な友達なんだよね?」
「……うん」
「だったら、私ももちろん彼の味方だよ。不安も多いとは思うけど、…守ってあげないとね」
「…そうだね。ありがとう、ぺトラ」
優しい笑顔を向けるぺトラに、「ありがとう」という言葉を返した。
自分がその言葉を言うのは、間違っているかもしれないけど、でも、ぺトラの言葉がとても嬉しく感じ、そしてAは少しだけほっとしていた。
皆がみんな、エレンのことを恐怖の眼で見ているわけではない……、そう思いたかった。
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沙羅(プロフ) - 罍罍さん» 通知が来てなくて、つい今しがた気づきました!!(泣)遅くなってしまい申し訳ありません!長い作品を読んで下さり本当にありがとうございます!エロカッコいい(//▽//)そんな兵長が大好きすぎます(笑)応援ありがとうございます!今後も精一杯頑張ります! (2018年3月1日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
罍罍 - 今、最初から全部読んでます!ヤバイ!!!!!兵長がエロかっこいいです(//∇//)!これからも頑張ってください! (2017年12月31日 16時) (レス) id: 4203201650 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - りあさん» りあさん!こんばんは!なんと通知が来ておらず、今頃コメントに気づきました〜(T□T)もう一ヶ月も前ですね!?レス遅くなってすみません!この作品を読んで下さって本当にありがとうございます!コメも☆も心より感謝です!完結まで精一杯頑張ります(>Д<)ゝ (2017年4月21日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
りあ - 沙羅さんこんばんは♪そう言って頂けて良かったです、余計なお世話だ~って言われたらどうしようかと…汗)自分だとなかなかこういうの気付きにくいですよね!読む側としては、読んで、コメして、お星様☆つけてというのがせめてものお返しなので♪今日、4読み終えました (2017年3月26日 22時) (レス) id: 33f147918f (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - りあさん» こんばんわ!早速修正しました〜ヽ(;▽;)ノ更新前にチェックしてるはずなのに、自分では気づかなかったリ、後々になって気づいたり…(T∀T)こうして教えて頂けるのはありがたいです!本当にありがとうございます! (2017年3月25日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
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