審議の前 ページ34
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岩で塞がれた壁の補強も進み、トロスト区はなんとか落ち着きを取り戻してきていた。
その日、Aは訓練兵団の食堂へと足を運んだ。
幸い直ぐに、ミカサとアルミンの姿を入口近くで見つけることができた。
「アルミン!ミカサ!」
「…Aさん!?」
二人が驚いた表情で、Aを見やった。
「久しぶりだね、二人とも。……いろいろと大変だったね。…その、大丈夫?」
「…はい。僕達は…大丈夫です」
「Aさん、エレンは無事なんですか!?エレンに会いましたか!?」
ミカサが不安な声でそう言う。
「…ごめん。私もエレンには会えていないんだ。…でも、団長と兵長が先日会って、エレンは調査兵団への入団を希望しているって……」
「…そうなんですね。…あの、…今日、エレンの審議があるって聞いたんですが…」
アルミンの言葉に、Aは頷いた。
「…うん。…今日の午後から開かれるみたい」
「審議って、一体どういう……」
ミカサの言葉に、アルミンは少し俯くと、
「…たぶん、エレンを生かすか…殺すか…」
「…なっ…!?」
「…そういうことですよね?…Aさん」
アルミンの問いに、Aは一瞬口をつぐんだ。
「…憲兵団もエレンの身柄が欲しいと言ってきていて…。もし、憲兵団に身柄が渡るとしたら…、たぶん……」
「……エレンは、……殺されるんですか?」
ミカサの瞳が真っ直ぐAの瞳を見つめた。
苦しいほどの視線……。
Aは今朝リヴァイが言っていたことを思い出す。
―少し手荒な真似をすることになるかもしれねぇが、策はある。…後は、まぁ、審議の流れ次第だな…
手荒な真似、審議の流れ次第…
望みは薄いということだろうか……?
「…大丈夫!!団長と兵長には何か考えがあるみたいで、きっと調査兵団に入団できるように計らってくれると思うから……だから、大丈夫だよ」
「…………」
重い沈黙―――。
Aは大丈夫、という言葉をあえて出したが、そんな確証なんて実際のところどこにもないのだ。
本当に、エレンはどうなってしまうのか……
その時、バンッと食堂のドアが開いた。
入ってきたのは、憲兵団だった。
「ミカサ・アッカーマンとアルミン・アルレルトはいるか!?」
「…はい!」
「午後からの審議に、証人として出廷しろとの命令だ」
その言葉に、三人は顔を見合わせた―――。
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沙羅(プロフ) - 罍罍さん» 通知が来てなくて、つい今しがた気づきました!!(泣)遅くなってしまい申し訳ありません!長い作品を読んで下さり本当にありがとうございます!エロカッコいい(//▽//)そんな兵長が大好きすぎます(笑)応援ありがとうございます!今後も精一杯頑張ります! (2018年3月1日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
罍罍 - 今、最初から全部読んでます!ヤバイ!!!!!兵長がエロかっこいいです(//∇//)!これからも頑張ってください! (2017年12月31日 16時) (レス) id: 4203201650 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - りあさん» りあさん!こんばんは!なんと通知が来ておらず、今頃コメントに気づきました〜(T□T)もう一ヶ月も前ですね!?レス遅くなってすみません!この作品を読んで下さって本当にありがとうございます!コメも☆も心より感謝です!完結まで精一杯頑張ります(>Д<)ゝ (2017年4月21日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
りあ - 沙羅さんこんばんは♪そう言って頂けて良かったです、余計なお世話だ~って言われたらどうしようかと…汗)自分だとなかなかこういうの気付きにくいですよね!読む側としては、読んで、コメして、お星様☆つけてというのがせめてものお返しなので♪今日、4読み終えました (2017年3月26日 22時) (レス) id: 33f147918f (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - りあさん» こんばんわ!早速修正しました〜ヽ(;▽;)ノ更新前にチェックしてるはずなのに、自分では気づかなかったリ、後々になって気づいたり…(T∀T)こうして教えて頂けるのはありがたいです!本当にありがとうございます! (2017年3月25日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
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