story＊69 涙 ページ26
・
戸惑いを隠せないままリヴァイの瞳を見つめる。
「…そんなツラするんじゃねぇ。別に言ったことを撤回するとは言ってねぇだろ」
「っ……だって………」
私が言葉に詰まっていると、リヴァイは少しだけスッと目を細めた。
「…それと、あともう一つだけ言っておく。俺は……お前の前からいなくなったりしねぇ」
「………え…？」
「お前を置いていなくなったりしない。…約束する」
真っ直ぐ私の瞳を見ながら、リヴァイはそう言った。
あまりに突然すぎて、すぐには言葉の意味がわからなかった。
だけど、その意味を悟った時、私はそれこそ何も言えなくなった。
言葉を失った私は、ただただ見つめ返すことしかできなくて……。
「……わかったな、……馬鹿」
何も答えさえしない私にそう言って、リヴァイは溜め息混じりに小さく吐くと、私を挟むようにして壁についていた手を離し、そして、私の頭をクシャッと撫でた。
その仕草は乱暴なのに、その手はすごく優しくて……。
知らない間に心臓がトクンと疼く。
そのまま何も言わずに踵を返し、その場を去ろうとするリヴァイ。
ゆっくりと離れていくリヴァイの背中を、気づけば私の足は無意識の内に追っていた。
「…リヴァイ…っ」
そう言ってリヴァイの肩に手をかけると、リヴァイがこちらに振り向く。
そのまま、振り向いたリヴァイの唇に、唇を重ねていた…。
軽く触れるだけのキス。
柔らかくて優しい唇の感触が私の唇に伝わる。
「…ありがとう……」
視線も合わせることができず、うつむいたまま小さくその言葉だけ残すと、私は半ば逃げるようにして足早にその場を去った。
胸が苦しくて、どうしようもなく苦しくて、廊下を歩く速度が上がっていく。
溢れるのを必死に堪えていた涙は、いつの間にか私の頬を伝い落ちていた。
・
story＊70 リヴァイside―約束という名の→←story＊68 臆病者
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1009人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「進撃の巨人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ああ - 続きがめっちゃ気になります！ (9月12日 17時) (
レス) id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - 更新待ってるよ〜 (9月12日 17時) (レス) @page39 id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - いつまで待ってるよさん» コメントありがとうございます！更新待ってくださってるということでしょうか。ありがとうございます（泣）。続きもう少しで更新できそうです。頑張ります！ (2021年4月19日 23時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
いつまで待ってるよ - みゃー (2021年4月13日 16時) (レス) id: 96589efb3e (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ミカサさん» コメントありがとうございます！更新お待たせしてすみません！待っていただきありがとうございます！ (2021年3月21日 22時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
