壁外調査4 ―巨人 ページ6
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つかの間の休憩が終わり、再び長距離索敵陣形に戻る。
今は小さな街の残骸に差し掛かっていた。
平地で建物の数は少ない。
私の班は右翼側次列。
その前方に赤い信号弾が見えた。
―……巨人だ。
緑の信号弾により、進路を変える。
だが、そのすぐ後、同じく右翼側より黒い信号弾が上がった。
しばらくして、右翼側より伝令。
『右翼索敵班。奇行種及び多数の巨人に遭遇。被害大』
その伝令とほぼ同時に、遠くに巨人の姿をとらえた。
数体いる。
これ以上、陣形に近付けてはいけない。
「増援に向かう!!」
班長の指示に従い、右翼前方へ急ぐ。
途中シオンと目が会った。
シオンは「大丈夫」というように、私に小さく頷いてみせた。
・・・
視界に入ったその光景は、まさしく地獄絵図だった。
血だらけで腕や足がなくなった兵士たちの残骸。
手足や飛び出した内臓が、そこら中に飛び散っている。
そして、不気味な巨人の姿。
人間がまるで小さな人形のようだ。
命が一瞬にして次々と奪われていく。
初めて見る地獄絵図に恐怖を感じずにはいられない……
だが………
その時、自分が死のうと思っていたことなど、私の頭からはもはや吹っ飛んでいた。
そんなことを言っている場合ではない。
―目の前の命を助けなければ!!巨人を倒さなければ!!
「うわああぁぁぁぁ!!」という叫び声でハッとする。
兵士の一人が巨人に持ち上げられ、今にも捕食されようとしているのが目に入った。
バキバキッと、骨が砕ける不気味な音がする。
反射的に立体機動へと移る。
ブレードを抜き、そのまま巨人の方へと一気に速度を上げ、血だらけの兵士を握りしめている腕めがけてブレードを振り落とす。
そのまま宙を舞うと反転し、うなじを削ぎ落した。
兵士は一気に地面へと落ちていく。
「っ…!」
急降下し、数少ない建物の壁にアンカーを射出する。
兵士の手首を掴んで、なんとか着地する。
だが、血だらけになった兵士は既に息絶えていた。
私のところへシオンが駆け付けた。
「大丈夫かッ!?」
「……間に合わなかった」
「Aのせいじゃない!…それにしても数が多すぎる。こんな集団で現れるなんて……」
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沙羅(プロフ) - ふぉらわーさん» ふぉらわーさん!part2初コメント!ありがとうございます!!もう嬉しすぎて号泣の作者です(T∀T)しかも感動して頂けたなんて…。゚(゚´Д`゚)゚。本当に嬉しいです!実は今、part7に突入しているのですが(長いっ)もしよかったらお待ちしてます!応援感謝です! (2016年5月30日 22時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
ふぉらわー - 兵長が夢主ちゃんを抱き締めて思いを伝えるシーンに感動しました…!!!これからもがんばってください…!!(´;д;)ゝ (2016年5月30日 15時) (レス) id: 8ad82dbea3 (このIDを非表示/違反報告)
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