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prologe ページ1






―850年。第57回壁外調査。






血にまみれた身体で、私は地面に倒れていた。
溢れ出る赤が止まらない…。




みんな死んでしまった……

巨人化したエレンはどうなったのだろう…?




…ごめんね……

私は任務を果たせなかった

ごめん…




その時、涙でかすんだ視界に映ったのは、愛する人の姿だった。
一瞬、幻かと思う。



「A、大丈夫か!?今すぐ救護班のところへ…――ッ」



彼はそこまで言って、言葉を止めた。
そして唇を強く噛んで、悔しそうな目で私の瞳を見つめる。



「……わかっ…てる…」



わかってる……

そんな時間なんてない

あなたには、しなくてはならないことがある
兵士長として、先に進まなくてはならない

ここで立ち止まる時間なんて、


―――ない…




彼は小さく舌打ちすると、出血の一番多い部分にサッとスカーフを巻き、手早く止血した。



「いいか、俺が必ずここに戻ってくる。それまでここから動くな。いいな、A」



私は最後の力で、彼のジャケットの裾をキュッと掴んだ。



「…最後かもしれないから、…もう一度だけ、キス…して……」



一瞬止まった彼は、私の頬に手を添えると、優しくキスしてくれた。
その温もりが心から愛おしかった。



「…絶対に死ぬんじゃねぇぞ。俺が必ずここに戻ってくる。…約束だ、A…」



私の目を真っ直ぐ見て、彼はそう言った。



「…うん。わかっ…た…」



小さく頷いて見せると、彼は私の身体を優しく抱きとめた。
彼の身体がゆっくりと離れ、そのまま立体機動に移ると宙を舞う。

その間際に見えた彼の横顔が、とても苦しそうだった。





ごめんね…

本当に、ごめん……




彼が去った後、私はベルトにつけてあるガラスの星のキーホルダーとそっと握り締めた。


彼が初めて私にくれたプレゼント…









私はあなたに出会えて、本当によかった


この残酷な世界をもう一度信じてみてよかった


私に生きる力を与えてくれた人


私はあなたと過ごした日々を、決して忘れない……―――







prologe ―リヴァイside→



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設定タグ:進撃の巨人 , リヴァイ , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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沙羅(プロフ) - ふぉらわーさん» ふぉらわーさん!part2初コメント!ありがとうございます!!もう嬉しすぎて号泣の作者です(T∀T)しかも感動して頂けたなんて…。゚(゚´Д`゚)゚。本当に嬉しいです!実は今、part7に突入しているのですが(長いっ)もしよかったらお待ちしてます!応援感謝です! (2016年5月30日 22時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
ふぉらわー - 兵長が夢主ちゃんを抱き締めて思いを伝えるシーンに感動しました…!!!これからもがんばってください…!!(´;д;)ゝ (2016年5月30日 15時) (レス) id: 8ad82dbea3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2015年8月29日 2時

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