それぞれの思い2 ―炎の揺らぎ ページ39
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エレンは地下の自分の部屋にいた。
薄暗い中、オレンジ色の炎が揺らぐ。
近くには、腕組みをした状態でリヴァイが壁にもたれていた。
わかっていた
わかっているつもりだった…
自分が巨人化し、暴走したときにはリヴァイ班に殺されると
覚悟していたはずなのに、いざ、そんな状況になると…
エレンはそっと重たい口を開いた。
「…実際、敵意を向けられるまで気づきませんでした…。あそこまで自分は…信用されていなかったなんて…」
「……当然だ。俺はそういう奴らだから選んだ」
「…え…?」
リヴァイは一息ついてから話始める。
「生きて帰って初めて一人前というのが、調査兵団の通説だが…。巨人と対峙すれば、いつだって情報不足。いくら考えたって、何一つわからない状況が多すぎる。…ならば努めるべきは、迅速な行動と、最悪を想定した非情な決断。…それができる奴らを俺は選んだ」
「…………」
「…俺が今回、てめぇに刃を向けなかったのは、冷静に危険がないと判断したまでだ」
「……それは、つまり…」
「もし危険だと判断した場合は、俺もお前に刃を向けていた。…そういうことだ」
その言葉に、エレンは無言で唾を飲み込んだ。
いくつもの死線をくぐりぬけていく中で、いくつもの選択をし、ときには非情な決断が必要な時が何度もあったはずだ
きっと、そうやって何度も壁外で苦悩を味わってきた
リヴァイ兵長も、先輩たちも……
自分は…とてつもなく甘い……
「……じゃあ、Aさんも、俺が危険と判断した場合は……」
「…あの馬鹿は論外だ。あそこまで馬鹿とは思わなかったがな…」
エレンはリヴァイの言葉の意味が呑み込めず、思わずリヴァイの顔を見やった。
「…え?…それはどういう…」
「……アイツ自身の問題だ。お前は考えなくていい」
「…で、でも……っ」
言葉途中でリヴァイの視線が鋭さを増し、この上ないくらいの勢いで睨みつけられた。
エレンは思わず口をつぐみ、それ以上聞けなくなる。
「…今はてめぇのことだけ考えてろ。…さっきも言ったがな、その力を必ず使いこなせるようになれ。それがお前の役目だ」
「…は、はい……」
「まぁ、…今回てめぇはてめぇなりにショックを受けたかもしれねぇが、アイツらだって血も涙も失ったわけでもない。お前に刃を向けることに、何も感じないってわけにはいかんだろう。……それぐらいは察しろ」
「…………」
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それぞれの思い3 ―命の使い方→←それぞれの思い1 ―涙の温度
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まやや - Wwwハンジwwwwwアニメでは団欒の後に出てくるからそれがここでも生かされてる(?)面白い。ちょっとえちちな展開もいい。嫉妬しちゃう、第三者目線でしか見れないから。。つら (2020年10月24日 0時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ミーナさん» コメント感謝です!!嬉しいお言葉を、たくさんありがとうございます!!本当に嬉しすぎます(>_<)夢主を含め、リヴァイ班みんなの内面の葛藤などを少しでも書ければと思っております!続き頑張ります!!応援ありがとうございます!! (2015年12月14日 22時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
ミーナ - 素晴らしいですね!!!大好きです!すごく大好きです!!頑張ってください!!!なんか、人間らしさ…?何かが出ていて感動します! (2015年12月14日 19時) (レス) id: 9ea20a320e (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - あいねこさん» 嬉しいコメントをありがとうございます!!感動しましたなんて…嬉しすぎです(ToT)応援本当にありがとうございます!!(*´∀`)更新頑張ります!! (2015年12月14日 8時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
あいねこ - すごく感動しました!これからも頑張ってください。応援します! (2015年12月14日 1時) (レス) id: cc9f9b8f42 (このIDを非表示/違反報告)
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