旧調査兵団本部16 ―そういう種類の『強さ』とは… ページ11
・
「ちょっと、考えてることがあって。…あの、エレンの巨人化実験のことなんだけど、……たぶん近いうちにするよね」
「…あぁ、そうだな。ヤツの力の解析も、一応任務のうちだ。…それに、メガネが黙ってねぇだろ」
「…それで、その時、…もしエレンが暴走したら、の話なんだけど…エレンを殺さなくても済む方法がないかな、と思って………」
「…………」
Aの言葉を聞いて、リヴァイは紅茶を一口啜ると、カップをソーサーの上に静かに戻した。
「そのことについては、俺も考えていた。…暴走したからと言って、すぐに殺したんじゃな…。殺すのは簡単だが……」
確かに、リヴァイの手にかかれば一瞬にして殺してしまうよね……と、思いつつ、Aは小さく息を呑む。
「審議の時には、生かすか殺すかのどっちかで、その中間はねぇ、と言ったが……。一度、ハンジ達と話をしてみるか」
「本当に！？…よかった…」
そう言って、Aは小さく息をつくと、笑顔を見せた。
「…まだ、方法があると決まったわけじゃねぇが……」
「……わかってる。…でも、リヴァイが同じこと考えてくれててよかった」
・
・
コイツは、本当にエレンのことを大事に思っている。
見ていればわかる。
だが、それはもちろん恋愛感情とかそういうのではなく、―――友人として……
いささか嫉妬した面もあったが、…それは自分でも理解しているつもりだ。
大事に思うのはいい。
だが、……それと任務とはまた別問題だ。
感情と切り離した、非情な決断。
もし、万が一、エレンが暴走したとして……最悪の決断をしなければならない状況になった時。
自分にはそれができる自信がある。
だが、……コイツはどうだ……？
リヴァイはそこに、一種の不安のようなものを感じていた。
いや、………と思い直す。
おそらく、自分の方がおかしいのだろう。
普通は個人の感情や、人との関係の狭間で、揺れ動く。
葛藤やジレンマや矛盾を抱えながら。
自分は敢えてそれを感じないようにしてきた。
立場上、そうすることを求められてきたからだ。
そして、それができる資質が自分にはもとからあったのだろう。
それは、おそらくエルヴィンも同じこと。
そういう種類の『強さ』を、コイツや班のメンバーに求めるのは、―――少し酷な話だな……
自分の横で、少し安心したような表情を見せるAを見ながら、リヴァイはそんなことを思った。
・
旧調査兵団本部17 ―思わせぶりな態度→←旧調査兵団本部15 ―妄想？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 836人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
人類最強と私の恋愛事情4―希望の行方―【進撃】【リヴァイ】 人類最強と私の恋愛事情1―運命の糸―【進撃】【リヴァイ】 【進撃の巨人】【日替わり】【リヴァイ】今日あなたはリヴァイ兵長にあんなことや...もっと見る
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まやや - Wwwハンジwwwwwアニメでは団欒の後に出てくるからそれがここでも生かされてる(?)面白い。ちょっとえちちな展開もいい。嫉妬しちゃう、第三者目線でしか見れないから。。つら (2020年10月24日 0時) (
レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ミーナさん» コメント感謝です！！嬉しいお言葉を、たくさんありがとうございます！！本当に嬉しすぎます(>_<)夢主を含め、リヴァイ班みんなの内面の葛藤などを少しでも書ければと思っております！続き頑張ります！！応援ありがとうございます！！ (2015年12月14日 22時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
ミーナ - 素晴らしいですね！！！大好きです！すごく大好きです！！頑張ってください！！！なんか、人間らしさ…？何かが出ていて感動します！ (2015年12月14日 19時) (レス) id: 9ea20a320e (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - あいねこさん» 嬉しいコメントをありがとうございます！！感動しましたなんて…嬉しすぎです(ToT)応援本当にありがとうございます！！(*´∀｀)更新頑張ります！！ (2015年12月14日 8時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
あいねこ - すごく感動しました！これからも頑張ってください。応援します！ (2015年12月14日 1時) (レス) id: cc9f9b8f42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
