何もしらない ページ7
*
また、雨だった。
呻き声を上げながら倒れている眼下の男達に冷たい目を向ける。
「二度とナメた口きくなよ。次はこんなんじゃ済まさないからな。」
「何度でも言ってやらァ」
「病原菌一家が、さっさとこの街から出ていきやが───」
病原菌一家
その単語に顔を歪めた時だった。
「くらああああてめーら何やってんだ!!!」
とんでもない勢いで砂埃を撒き散らしながら神晃がA達の方へ走ってくる。
「ヤベェェェ星海坊主だ逃げろォォ!!」
きっと一緒に悪党共を成敗してくれる。
そう思ったAは嬉しそうな顔で後ろを振り返り父さんと言った。
「弱い者いじめするんじゃありません」
だが、その気持ちは180度回転した。
何故か矛先が自分に向かったこと。
そして、ちゃっかり背中の神楽を取られたことにかなりの不満を感じたからだ。
◇
「つ───」
大きなたんこぶの出来た頭を抑える。
「一体どこに目ェつけてんの。8対1で、しかも男が女を襲ってたんだ。どう見てもいじめられてたのは私じゃないか。」
「象一頭と蟻八匹でもか?夜兎の力を無闇に使うな。」
不服そうに頬を膨らます。
「いちゃもんつけてきたのはあっちだよ。それに強くなれって言ったのは父さんじゃないか。」
「俺は母ちゃんや神楽を護れる位強くなれっていったんだ。かわいい妹喧嘩に巻き込むアネキがいるか。なぁ神楽ちゃん」
「だ〜」なんてかわいらしく言いながら神晃の顎を蹴り飛ばす神楽は逞しい。
「象二頭の間違いだった!!」
衝撃で吹き出た鼻血を拭き取る。
そんな父親を横目で見ながら話を続けた。
「だってアイツら、母さんを病気をまき散らす病原菌だって!なにもしらないくせに!!」
そこまで言うと、沈んだ顔をして足元を見る。
「いや・・・・何もしらないのは私か。」
悔しそうに唇を噛みしめる。
「父さん。母さんの病気って一体何なの。本当に治るの。」
悔しかった。
自分に何も出来ていないことが。
日に日に弱っていく母を見ていることしか出来ない自分が。
「私が母さんにできる事って何もないの。父さんを手伝える事って何もないの」
だから、少しでも力になりたかった。
「ねェよ今のままで充分だ。お前が母ちゃん達の側にいてくれるだけで、どれだけ助かってるか。」
母さんの病気は俺に任せて、無茶はするな。
そう言って頭を撫でる手が今は嫌だった。
子供扱いされている気がしたから。
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宇宙 - 凄い面白いです!おススメします! (2019年11月24日 18時) (レス) id: 851b2213db (このIDを非表示/違反報告)
黒金 - あお果実さん» ありがとうございます!そう言ってもらえると、とても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2019年3月6日 20時) (レス) id: 16e0ec3fb6 (このIDを非表示/違反報告)
あお果実(プロフ) - とても面白いです!これからも応援してます(*´∀`) (2019年3月6日 16時) (レス) id: 11c4dc89d1 (このIDを非表示/違反報告)
黒金 - momoさん» ありがとうございます!私も、こうして見ると何だかしみじみとしてしまいます・・・・。小さい頃から壮絶な人生送ってますよね・・・・。これからも更新がんばります! (2019年3月3日 23時) (レス) id: 16e0ec3fb6 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 初めまして!銀魂の成り代わり小説少ないし、神威の成り代わり見た事無かったので書いてくれて嬉しいです!!こうやってみると神威恵まれ無さすぎて推せに推せる.......。これからも更新楽しみにしてます。無理をしない程度に頑張って下さい( *˙ ˙* ) (2019年3月3日 22時) (レス) id: afb06b4870 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒金 | 作成日時:2019年2月23日 22時