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雨ウサギ ページ16

*



家を出ていってから暫く、花を探していた。


江華にプレゼントしたものと同じ花。


ただの花にしては長い間咲き続けていたその花は、どうやら珍しい花だったらしい。


何時間探しても、見つからなかった。



帰るにも帰れない。


落ち込んで雨の降る中、道端に座り込んでいた。


そうしていたら、いつの間にか近くに一匹の兎がいた。


それは一見毛玉だった。


雨に濡れてペタンとなった赤毛


それでもピンと立っている耳


生気溢れる青い瞳


兎にしては長い尻尾


そのうち離れると思っていたが、ずっと側にいる。


Aはため息をついた。


「お前、いつまでそこにいるの。」


兎は答えない。


当たり前だ。


ふと、その視線が手元の花に集中していることがわかった。


「お前、まさか・・・・・」


試しに手を右に動かす。



左、右、右、左



見事なまでに、その青い瞳でずっと花を追いかけていた。


「食べたいの?」


長い尻尾を揺らす。


「ほら」


その近くに花を置いた。


そこに飛びかかるように飛んでいき、夢中で食べる。


その姿が面白くて、Aは少し笑う。


兎は茎だけになった花を加えてAの側へ行く。


「何?」


ポトリと茎を落とすと、服の端を引っ張る。


何だ?と不思議そうに眉を顰めた。


一度離れてはまた服を引っ張り、また離れては引っ張る。


それの繰り返しだ。


「ついていけばいいの?」


そうだ。


そう言うようにジッと見つめる。


「わかったよ。つれてって」


そうして、前へと跳ねて進んでいく兎についていった。


いつの間にか雨はやんでいた。




*

生気溢れる→←枯れかけた



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設定タグ:銀魂 , 神威 , 成り代わり
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宇宙 - 凄い面白いです!おススメします! (2019年11月24日 18時) (レス) id: 851b2213db (このIDを非表示/違反報告)
黒金 - あお果実さん» ありがとうございます!そう言ってもらえると、とても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2019年3月6日 20時) (レス) id: 16e0ec3fb6 (このIDを非表示/違反報告)
あお果実(プロフ) - とても面白いです!これからも応援してます(*´∀`) (2019年3月6日 16時) (レス) id: 11c4dc89d1 (このIDを非表示/違反報告)
黒金 - momoさん» ありがとうございます!私も、こうして見ると何だかしみじみとしてしまいます・・・・。小さい頃から壮絶な人生送ってますよね・・・・。これからも更新がんばります! (2019年3月3日 23時) (レス) id: 16e0ec3fb6 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 初めまして!銀魂の成り代わり小説少ないし、神威の成り代わり見た事無かったので書いてくれて嬉しいです!!こうやってみると神威恵まれ無さすぎて推せに推せる.......。これからも更新楽しみにしてます。無理をしない程度に頑張って下さい( *˙ ˙* ) (2019年3月3日 22時) (レス) id: afb06b4870 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒金 | 作成日時:2019年2月23日 22時

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