晩御飯は、ゴミ箱へ。【うらたぬき】

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掃除機の電源を切って、片手で持ちながら部屋の中に入る。





特に掃除するべき場所が見当たらない部屋は綺麗というより物が少なくて、そこがうらたさんらしいな、なんて。









黒を基調とした落ち着いた部屋にゆっくり入っていく。




小声でお邪魔しますって言ってみたり。









机の上にはパソコンや何かの……恐らく会社の書類。




その横に………









『…………ん？』









ぽんっと置かれた女物の香水。



誰かのプレゼント用かと思ったが、開封済みだし使用済み。









少し、匂ってみれば。









『んー…、いい匂い………ちょっとキツいけど』









多少匂いはキツいかもしれないけど、臭くはない。付けすぎない限りは。









『………うらたさん、こんなの使ってるの？』









ここが定位置というよりは持っていき忘れたかのような位置に無造作に置かれたその香水を見つめる。




香水の付いた右手を匂うと、ふわっとする香り。改めて匂ってみればそれは、何だか最近嗅いだばかりの匂いのような気がして。









＿＿＿………。



＿＿＿……ぁ、









おかえりが言えなかった昨日。更にその前も。





うらたさんが帰ってきた時に匂うのは、いつもこの匂い。









浮気してきましたと言わんばかりの女物の香水の香り。





その香りは今日、夜になって何時ものように家に帰ってきたうらたさんからは、何故かしなかった。









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