【歌い手】惚、好、愛、結 team.B【大型コラボ】 (ページ6)

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あれからもう一年が経った。一年も経つと色んな事が変化するもので、俺の周りでも変化が起きた。

この小さな鳥を、俺の手で射抜きたい。隣で歩く小さな背を見て、そう強く思うようになった。色んな所へなんの躊躇もなく行く様子は、大空を自由に羽ばたく鳥のようだった。長い黒髪は、肩くらいまで短くなり、黒髪を揺らしながら楽しそうにステップを踏んでいた。そんなフラフラしているから、見ていて危なっかしく思う。

何度も通った帰り道は、一年前と同じように綺麗な夕日で染め上げられている。俺の真横で慣れないステップを踏み転びかけるAの腕を咄嗟に掴んで引き寄せた。

「お前な…これで何回目？もしかして、わざとやってる？」

危ないだろ、と転びかけたAの頭にチョップをかました。ごめんて、と笑いながら頭を抑え、今度は少し先まで走り出した。くるりとこちらに振り返り、幸せそうに笑った。

「でも、なるせが守ってくれるんでしょ？」

どんな災いからも、そう言って近づいてきたAに気を取られていたら、鞄から俺の家の鍵を取られた。

「あっ、おいA！今日はお前の家だろ！」

急いで追いかけるも、足の速いAには追いつくことはできず、家に着く頃には肩でぜえぜえと息をしていた。玄関前で平然と立っているAにカチンときたが、もう鍵を開けていて怒る気も失せた。

「はい、上がった上がった〜！」

自分の家のように俺の手を引いて、ズカズカ上がっていく目の前の背中をズルズルと追う。部屋に入ると一年前と同じように暑い。すぐさま冷房を入れ、先に床に座っていたAの隣に座る。

「ねえ、なるせ。」

「ん？」

不意に隣から視線を感じ、チラッとそちらを見た。澄んだ瞳と目が合う。

「私を好きになってくれて、ありがとう。」

照れくさそうにはにかむAを見て、体温が上がる。今の彼女の表情、声、感情の全てが、俺に向けられている。これ以上にないくらい幸せだ。Aを抱き寄せ、そのまま床へと寝転がった。至近距離にある君の顔は、桃色に染め上げられていた。横髪が頬に垂れているのに気づき、そっと耳にかけてあげる。

「俺の方こそだよ。俺の事を選んでくれて、ありがとう。」

この先もずっとずっと、君を守っていこう。

どんなに小さな災いでも、君に降りかかる災いは俺が守る。

その災いが来なくなる日は、君の命が尽きる時なのだろう。

その時まで、一緒にいよう。

最期のその時まで、君を想い続けよう。

fin.