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勿論、俺とAがいれば、必ず世界を救える。
そんな計算も、ないわけじゃなかった。...事実だし。俺の怪我はここで癒えている。攻撃に使った魔力をAに添付することで、彼女自身のダメージも軽減されるだろう。
だからこそ、彼女を救えば世界が救える。
そんな理屈だって、確かにあった――――――だけど。
Aがいない世界なんて、意味がない。
そんな馬鹿げた身勝手な自分本意な。
しかし何よりもありふれた。
そんな想いがないと、そんなことを叫んではいけないと。
否定する権利が、誰にある?
そもそも、と思う。
かつて世界を救ってきた勇者は、英雄は、ヒーローたちは。
本当にただただ他に何の想いもなく、世界を救おうと思って世界を救ったわけじゃあなかった。
きっと、彼らは。
世界に息づく人々を救いたかった。
自分に光をくれた。温もりをくれた。
側にいてくれたそんな人を。――――――Aを、
救いたかった。そしてそれを救った先に、
世界が、おまけとして付いてきたのだ。
俺はAを救う――――――そのついでに、世界を救う。
すれすれの、一か八かの。
乾坤一擲の博打に引っかかり、釣り上げられた世界は。
愛しい人がその世界で息づくからこそ、燦然と輝くのだろう。
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飴依存症の人*神作掘り出し隊(プロフ) - すげえ…どれも良かったけど菊花さんので泣いちまったよ…。 (2019年9月13日 16時) (レス) id: 9ac419bf0d (このIDを非表示/違反報告)
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