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あれから三週間が経ち、Aがさらに可愛くなっている気がした。恋する乙女は可愛くなるというやつだろうか。

「__の意味は災いを払うこと。桃の木でできた弓と__。」

先生の話を右から左へ聞き流し右斜め前に座るAを見ると、いつもなら落書きに夢中なのにある一点を見つめている。一番前の席にいる蓮だ。頬杖をつきながら今まで見たことのない表情で見つめていた。俺の知らないAの恋する表情。それを見てしまい、黒いドロっとした醜いあれがまた溢れてくる。

「(こんなにも苦しいんだから、夢の中では君と二人きりで笑わせて。)」

現実から目を背けるように目を閉じて、意識を手放した。

ぼんやりとした意識の中、Aの声が聞こえた。肩を揺さぶられていることに気づき目を覚ませば、横にAがいる。

「今何時…」

「外見なさいよ。もう夕方だよ。」

帰ろ?と笑いかけてくるAに醜いあれが消えていき、心が満たされる。

「もう少しだけ…」

もう少しだけこのままでいたくて。他の表情も感情も、全部俺に向けていてほしくてそう言えば、あと5分だけね、と笑いながら椅子に座った。どこまでも純粋な君は、もう少し寝かせろという意味で捉えたのだろう。不意にAがこちらに手を伸ばした。

「今くらいはゆっくり休んで。」

俺の頬に手を当て、目元を撫でながらそう言った。優しく撫でてくれる君の手はとても温かい。

「ねえA。」

彼女の名を呼び、頬にある手に自分の手を重ねた。まだ重たい瞼を開き、目の前にいる君を見つめた。

「どうして俺に教えてくれたの?」

好きな人をどうして教えてくれたのか。その答えはもう分かっている。でも、どうしても君の口から聞きたかった。目をぱちくりさせた後に彼女は口を開けた。

「そんなの決まってるじゃん!なるせが親友だからだよ!」

"親友だから"彼女に想いを伝えたところで俺らの関係は親友以上になれない。とうの昔から分かっていたのに、君を想う気持ちが溢れてやまない。

「そっか。」

自然と目の奥が熱くなる。重ねた手に縋り付くように手を絡めていけば、俺よりも小さな手は簡単に絡めとられる。

「なに、どうしたの。」

擽ったそうにする君の声が聞こえ、その手を逃がさぬよう握り直した。彼女から顔を背けて目を閉じた。溢れてきそうな涙を抑え、今の気持ちを悟られぬよう。

「お、五分経った!帰るぞ!」

窓から差し込む夕日とAの無邪気な笑顔が妙に悲しく、苦しく感じた。

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飴依存症の人*神作掘り出し隊(プロフ) - すげえ…どれも良かったけど菊花さんので泣いちまったよ…。 (2019年9月13日 16時) (レス) id: 9ac419bf0d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者一同 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年9月11日 21時

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