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｢…あの、もう、大丈夫です…｣
｢そう？じゃあ少し待ってね｣
近くなった距離に耐えられなくなった侑亜を見た彼方は仕上げ、と絆創膏を貼った。
｢ありがとうございました｣
早口に告げた侑亜はそっと凛音の袖を握った。
これは幼い頃からの侑亜の癖で、自分を奮い立たせる時や不安な時によく現れる。今までと変わらず無意識に自分を求めてくれることに、沈んでいた凛音の気分は少し上がっていた。
｢あの…侑亜くん、お話してもいいですか…？｣
彼方の後に隠れた真冬が、聞き取れるかどうかの音量で侑亜に話しかけた。しかし、それに続いたのは彼方の声だった。
｢お前何してんの？話すなら前に来なよ｣
｢だって…また怖がらせちゃうかもしれないじゃないですか…｣
｢…侑亜くん、真冬と話せそう？何かあったら俺が止めるし、隣に弟くんもいるから｣
｢…ま、真冬くん、お話、しませんか…？｣
侑亜を驚かせないようにおずおずと話しかける真冬だったが、予想外の侑亜の言葉に逆に驚かされてしまった。嬉しさのあまり大声が出そうになるのをぐっと堪え真冬は続けた。
｢いいんっ…いいんですか？｣
｢…うん、か…彼方さん、の、信じる人なら…｣
｢えっと、じゃあ…もしよければ、一緒に学校行きませんか…？｣
照れくさそうに笑う侑亜が自分と同じ制服を着ているのに気づいた真冬は、話しかけながら羽織っていた茶色いコートのボタンを外す。
続く
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作者名：ルーク | 作成日時：2019年2月1日 10時
