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暫くして、ぐう とお腹が鳴った。
そういえば、昨夜から何も口にしていない。大きな声を出したので、喉もカラカラだった。
「お腹すいたんだけど……、キツネ君」
ちらと彼を見ると、 グゥといびきで返事が戻ってくる。
「起きないと、勝手にお家探索しちゃうよ」
いいの？なんて問いかけてみるも、返ってくるのはやはりいびきと寝言だけであった。
しかしそんなのお構いなしと言わんばかりにお腹の音は鳴り続ける。
仕方なく部屋を見渡して口に入れられるようなものを探すことにしたのだが、それどころかこの部屋には全く物が置かれていないということに少し経ってから気付く。
飾りの１つや２つくらいあるだろうと何度も部屋中ぐるりと見渡したが、全くもって無かったのである。
「空き部屋なのかな？ていうか…部屋広いなぁ」
向かいに位置する壁を見つめると、やたら遠くにあるように感じた。
立派な床の間や床脇があるのに、飾り物が置かれていないからか広い部屋が余計広く見えた。
暫くじっとそれらを眺めていると、ふと、おばあちゃんの家が脳裏に浮かんだ。
漆の器に入った煎餅や、様々な和菓子が用意されていた木の模様入りの座卓。床の間には古びた掛け軸や花が生けてある花器が置いてあって、畳の独特な匂いと、生花の柔らかな甘い匂いが優しく香る家屋だった。
どれも大好きなもので、ひどく懐かしい。
それらの全てがこの部屋に無いのが、寂しいと、ふと感じた。
「……人、誰か住んでないのかな？」
住んでいるのは…キツネ君だけ？なわけないよね？
考えても分からなく、私は「うーん」と小さく呟いた。
すると忘れかけていた空腹を再び訴えるが如く、腹の中にいる何かが地響きのような音を鳴らし始めた。
ぐごご、と自分でも慌てるような強烈な音が、静かな部屋に鳴り響いた。
「怒ってる怒ってる、腹が怒ってる」
私はさっきよりも大袈裟にお腹をさすった。
「何か食べ物探さないとな」
そして すっくと立ち上がると、眠るキツネ君をおいて部屋を後にした。
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みや(プロフ) - 羅胤さん» 羅胤様、初めまして！ご感想いただきありがとうございます！とても嬉しいお言葉です。改善点も視野に入れ、更新頑張ります！本当にありがとうございます！ (2020年12月2日 15時) (
レス) id: 56bc8124d6 (このIDを非表示/違反報告)
羅胤(プロフ) - みや様、初めまして。本作を読ませていただいたものです。改行が多い点は気になりましたが、文章がとても上手く、物語に引き込まれてしまいました。これからも是非、更新を頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年12月2日 15時) (レス) id: 6b5b4b25ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みや | 作成日時：2020年11月1日 0時
