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◇.
そしてその嫌な予感は的中。
事件があった数日後に呼び出された私。
私の目の前にいるのは若武だ。
手を組んだ上にその整った顔を乗せていて、若武には珍しい神妙な顔つきをしている。
今日の朝に突如、何の前触れもなく若武によって呼び出された私たちkz。
どうして急に呼び出したんだろう…?
とすっとぼけたい気もするけど、私には何となーく、いや、完全に呼び出された理由が分かっている。
…物凄く、ものすごーく知らんぷりをしたいのだけれど。
「…アーヤ。」
若武のそのあまりの静かさに自然と張り付いていたこの場の空気。
この空気の中、この空気を醸し出す原因の若武から出た言葉は、私の名前。
あぁやめて、この空気で私の名前を呼ばないで…!
「こないだの体育祭、なんかあったろ。」
あぁ絶対その話題だって分かってた!
でもなるべく言わないでほしかったんだ。
何故なら言った場合の皆の反応は目に見えているから。
だってその場でみんな見てたんだもの…。
なるべくあの事については触れたくないのが私の本心だった。
「…体育祭があっただけだよ。ね、翼。」
流石に無視を決め込む勇気はないから話を早く逸らそうと、ただそれだけ言った。
無理があるのは分かるけど、少しくらい足掻きたい。
ついでに翼も同じ学校だし、私だけじゃ上手く話題をそらせない。
助けてもらおうと翼に話を振ったの。
…でも、それは間違いだった。それに気付いたのは同意を求めたすぐ後で。
ニヤ、と口角を上げた翼が口を開いたんだ。
「何もなかったよね、借り物競走で砂原と片山に連れ去られたことなんて。」
裏切り者っ!!!思わずそう叫びたくなってしまった。
だって翼、絶対楽しんでるもの!
キッと睨んで見せるとこっそりウインクを飛ばしてくる翼。
「お前なぁ、」
若武は呆れたように私を見つめ、テーブルへ身を乗り出した。
「ちょっとは自覚しろよ。女だってこと。
kzのなかでは性別を超えた関係として付き合っているが、kzの活動外となればお前はただの女だ。
アーヤがどう言おうとそれは変わらん。
砂原や片山だからって気を許すんじゃないぞ、じゃないと今後のkz活動に支障をきたす可能性だってある。」
そんな若武の意見に上杉くんは珍しく賛同したのか首を縦に振って聞いている。
小塚くんもどこか同情したような視線を送ってくるも、その視線には若武と同じような光が含まれていた。
◇.
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清霞(プロフ) - はるはるさん» はるちゃーん( ; ; )有難う、楽しんでもらえたみたいで良かったです!コメント有難う* (2019年1月29日 21時) (レス) id: 61be4c1b32 (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - さやかちゃん、ダリアの花束を贈る。完結お疲れ様です。どのお話も好みで、とても面白かったよ。更新される度にワクワクしながら読んでいました。本当にお疲れ様-* (2019年1月27日 20時) (レス) id: 91ccc51c14 (このIDを非表示/違反報告)
清霞(プロフ) - Wings(心渚)さん» みなちゃんありがとう、更新はめちゃめちゃ遅いけどのんびり待ってくれてると嬉しいです* (2018年12月25日 19時) (レス) id: 61be4c1b32 (このIDを非表示/違反報告)
Wings(心渚)(プロフ) - 清霞さん» やっぱこのお話好きだわ笑頑張ってね、応援してます。 (2018年12月25日 18時) (レス) id: ce1217488b (このIDを非表示/違反報告)
清霞(プロフ) - 沙也加さん» わー、ありがとうございます( ; ; )やっぱりkzのわちゃわちゃはいいですよね…!もっとわちゃわちゃシリーズを書けるように頑張ります、閲覧にコメント有難うございました* (2018年12月8日 14時) (レス) id: 61be4c1b32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:清霞 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/somerina021/
作成日時:2018年10月8日 10時