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若武side

秀明を出ても鞄を持って走り続けるアーヤ。
俺との間はだんだんと縮まっていた。
すれ違う通行人が俺らを見ている。
いつものアーヤだったらきっと嫌がっていただろう。
でも今は構わず走り続けている。
それほど俺たちはアーヤを傷つけたのかもしれない。
だから謝らずにさよならなんて、絶対に嫌だ。
何としてでも謝ってやる。

そう考えていると、アーヤは交差点の前まで来ていた。
アーヤの正面は自動車がわんさかと走っている。
このまま気付かなかったら…
きっと車道に突っ込むことになるだろう。
俺は今までにないくらい全速力で走った。
心の中で何回も彼女を呼ぶ。


アーヤ、 アーヤ、 アーヤ、 アーヤ!


ひたすらに走り、俺とアーヤとの距離はあと僅かになった。
それと同時に車道との距離も近くなっている。


間に合え、間に合え!


思わず目をつぶる。
周りの通行人が俺らを避けて歩いていることが目をつぶってでも分かった。

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やがて俺の手が誰かの腕を掴んでいた。
恐る恐る目を開けると、その腕はアーヤの物だった。
車道との距離はあと一歩くらいしかない。
無意識に肩を上下に揺らす。
良かった…
「アーヤ」
彼女に呼びかける。
しばらく静止していたアーヤは、ゆっくりと俺を振り返って驚いたように目を見開いた。
彼女の口が一瞬「わ」の形を作ったことを俺は見逃さなかった。
だけどすぐに悲しそうに目を逸らし、小さく呟いた。
彼女の足元にポツポツと透明の染みが浮かんで消える。
「ありがとうございます。これから気をつけます。」
その声を聞いたと同時に俺の胸がズキンと痛んだ。


もう名前も呼んでくれないのか…

これで最後でいいから、、、

「若武」って呼べよ…

今までのように呼んでくれないと俺、辛すぎて死んじゃう…

アーヤ、お前が俺から消えて初めて、大切な存在だということに気付いたんだ…

だから、もう泣くなよ…

笑えよ…

ごめんな、アーヤ…

お前を泣かしたのは俺だ。

好きな子を泣かせるなんて情けないよな…

本当にごめん。



一瞬、アーヤと目があったような気がした。
だけど目を逸らされた。
すぐに黒木と上杉が、遅れて小塚が事件ノートを抱えて来た。

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設定タグ:探偵チームkz事件ノート , シリアス   
作品ジャンル:泣ける話
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あやね - 続きか楽しみ!頑張ってください!!!! (2021年6月29日 17時) (レス) id: a6cd23a049 (このIDを非表示/違反報告)
なつ - 頑張ってください!!!!!!!!!!!!! (2020年9月22日 14時) (レス) id: 1879a9c3fe (このIDを非表示/違反報告)
- 次の更新が楽しみ。頑張ってください (2018年8月14日 17時) (レス) id: 4ec73e4055 (このIDを非表示/違反報告)
CHIHO - ファイトー (2018年2月18日 15時) (レス) id: 86b0647779 (このIDを非表示/違反報告)
ローラ - 続編、やってほしいです! (2018年2月10日 7時) (レス) id: 045ee1893e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マス | 作成日時:2017年10月15日 9時

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