13.ある夜の日 ページ13
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「首領ー」
夜、というか夜中、ふと目が覚めて水でも飲もうと自室を出て階段を降りていれば、リビングに入って行く首領が見えた。
きちんと会うのは実に3日ぶり。
足早に追いかけて、首領を呼んだ。
チクタクと時計の音だけが響く中、首領は静かに私を振り向く。
いつも通りの、生気の少ない瞳、青白い肌。
「・・・こんな時間まで仕事か」
「いえいえ、目が覚めちゃって!」
「・・・寝れねぇの」
「ちょっと夢見が悪かっただけですよ〜。でも首領と会えたので夢見が悪くてよかった〜」
暖かいお茶飲みますか?そう聞けば、小さく頷いた。
水の予定だったけど、暖かいお茶にしよう。
きっとあの人も、眠れてないんだ。
温かいものでもいれて寝やすくしてみせようじゃないか!
何も言わず、リビングの蘭ちゃんセレクトソファーに座って、着いていないテレビの画面を眺めてる。
これがいつもの首領。
何かを考えているのか、はたまた何も考えていないのか。
私は彼の意思が読めないけれど、少なくとも、私がお茶を淹れるのを待っていてくれてることは分かる。
「美味しいかわからないですけど、どーぞー」
ん、と小さく私に返事を返して2人でずずっとお茶を吸う。
あちっ、なんて言ってから、そういえば隠してたお茶菓子があると思い出す。
お腹は空いてないかもしれないけど、甘いもの好きなら出して損は無いはず!
ガサガサとお茶菓子を持って首領元に戻って、机の上、二人の間にお茶菓子を出してみる。
ちらっとそれを見た首領は、それ以降動かない。
やっぱり要らなかったかぁなんて少しガックリしながら1人でパクパクとお菓子を食べる。
「・・・美味い?」
不意にそう聞かれて、一瞬だけびっくりしてしまってからそりゃあもう!なんて少し勢いをつけて言ってしまった。
だって、興味を示してくれたのが嬉しくて。
「食べます?」
「それ一口ちょうだい」
それ、と私の食べかけを指す首領の言うままに素早い動きでお菓子を差し出せば、なんだか少し、笑われた気がした。
「どうですか?」
首領は本当に一口だけ食べて私に返してから、太るぞ、と一言言って立ち上がった。
ポンポンと頭を撫でてから出ていった首領に
太るという言葉の重さと首領の行動の甘さにしばらく固まった。
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はな(プロフ) - カルピスの原液さん» コメントありがとうございます〜!なんだかんだ優しい反社が理想です笑ありがとうございます、今後もよろしくお願いしますー! (2023年4月26日 17時) (レス) id: bc1f8927b1 (このIDを非表示/違反報告)
カルピスの原液(プロフ) - すごい面白いです! みんなツンデレでかわいーなと思いました! 応援してます!更新頑張ってください! (2023年4月25日 15時) (レス) @page17 id: bf82bf2975 (このIDを非表示/違反報告)
ミッキーだお☆(プロフ) - はなさん» 今回も夢主ちゃんのおバカなところ?がとっても可愛いです!!これからも見ますので頑張ってください〜 (2022年9月11日 6時) (レス) @page14 id: 156bbcf58c (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - ミッキーだお☆さん» ありがとうございますー!!全然更新進んでいないのに、そんな、とても嬉しいです😭これからもぜひよろしくお願いしますー! (2022年9月10日 17時) (レス) id: 544f54aa0d (このIDを非表示/違反報告)
ミッキーだお☆(プロフ) - 初コメ失礼致します!!この作品面白すぎます!!もう控えめに言って好きです!!次の更新楽しみにしてます!!無理をせずに頑張ってください!おこがましくてすみません💦 (2022年9月4日 18時) (レス) @page13 id: 156bbcf58c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2022年3月4日 0時