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「恋人か」
後ろに続いていた万事屋が、俺に追いついてそう聞く。
俺はそれに、鼻で笑って、そんないいもんじゃねぇよと、呟いた。
「それよりなんでおめぇらが一緒に」
「野暮用でな、出てたところで迷子だったみてぇだから。
おめぇらの所にいるって言うし、送ってやろうとしてるとこで猛者苦しい天人に会っちまった」
「そうかよ」
無愛想にそう答え近藤さんに電話をかける。
虚無感と焦燥感に駆られて、今にも心臓が破れちまいそうだ。
Aが、あの男の元に連れてかれたら、どうなる?
何をされる?どんな目にあう?
早く、連れ戻さねぇと。
電話に出た近藤さんに事情を説明すれば
丁度近藤さんも、松平のとっつぁんから、昨日の奴の情報が入ったことを教えられた。
仕事の速さには感心するな、あのおっさん。
家までは特定できなかったが、どこら辺かは特定出来たらしい。
場所や情報を伝えられて、俺は電話を切った。
あの男は、何度もAを買っては売ってを繰り返していたらしい。
まだ生きることに絶望していなくて、
愛情に飢え、人の優しさを欲していただろう頃のAを。
優しくして、また売って、優しくして、また売って。
絶望と希望を与え続けたと言っていたのは、そういうことか。
そうしてAをいいように利用して、欲のはけ口にして。
それが嫌になってお前は、あんなボロボロな姿で
自分で死のうと、頭に雪を積もらせてたのかよ。
「おい、大事な女か」
万事屋は、後ろから俺にそう聞いた。
大事な女、ね。
「・・・あぁ」
だから、取り返さねぇと。
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あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時