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「文字はどこで覚えた?」



それじゃあ暇つぶしに雑誌や漫画でも買うかと

スーパー内を歩いている時に聞けば、そいつの沈黙が久しぶりにやってきた。


最近は過去を掘り下げるような質問はしていなかったからこの沈黙が今日は今まで以上に痛い。


やっぱりまだ信用には値しねぇか。



「・・・好きなの選べ」


「・・・その、」


「無理して言わねぇでいい。

事情聴取も職務質問も、今のおめぇに俺がする必要はねぇからな」



完全なる被害者、そう判断されたこいつに

俺や警察、お偉いさんが無理に何かを聞くことは出来ない。


まぁそれも、人身売買の詳細がこいつ以外の他のやつの口から細かく知れたからだが。


これ以上は、こいつのプライバシーの範囲になるっつーこった。


早く選べ、そういう俺に

そいつは眉を下げ、何も言わず、ただ適当に雑誌を取ってカゴに入れる。


この気まずい雰囲気が、俺とお前とのこの距離を感じさせる空気が、1番嫌いだ。



「・・・さて、呉服屋戻るか。他にいるもんは?」


「ない」



空気を壊せ、壁があったって、今よりマシだ。

さっきまでの空気に戻せ。


じゃあ行くか、そう言って来た道を戻る。


いつの間にかそれは橙色に輝いていて

もうすぐそこの電灯が着く。


夕飯時になるからだろう、道は既に人混みじゃなくて

繋ぐ理由の無い左手がそいつの右手のために空いていて。


だけどこの空気で、この状況で

俺はそんなにわかりやすい行動はとれなくて。



「・・・さっきの質問は忘れろ」



今日少しでも楽しいと思ってくれたなら、最後まで笑ってくれ。


そう言いたかった。

口を開いた。


だけど、もし最後までただ無理をして笑われたら、真顔だったら

俺はきっと耐えられなくなる、そう分かっていたから


何も言わず、あの明るい呉服屋の娘を頼りに無言で町を歩く。






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あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時

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