9.雷 ページ9
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「じゃ、送ってやるから家でヅラ待ってやれ」
「一緒に待ってくれる?」
「お前がそうして欲しいってんなら一緒にいてやるよ」
ほれ行くぞ、と背中を押されAは前に進んだ。
綺麗に片付いた万事屋銀ちゃん。
お風呂に入った神楽と僕も一緒に出ますと玄関を出る新八。
Aは、桂がいつ帰ってくるか、それだけを考えていた。
Aも外に出てみると、そこは大雨。
あれ?と小首を傾げるAとげんなりした顔になる銀時。
バケツを思い切りひっくり返したような土砂降りに
新八も銀時も雨の音なんて聞こえなかったのに、と思う。
楽しすぎたせいか、屋根をうちつける雨の音すら誰にも聞こえていなったのだ。
「やーな天気になったねぇ。新八帰れる?」
「僕は大丈夫ですよ、念の為に傘も持ってきたし」
天気予報は雨であったが結局降らなかったのかと思い開いていなかった傘を開いてみせる新八。
そうかそうか、と頷き、くるりと銀時を振り向くA。
それじゃ、なんて手を上げて走り出そうとするAの首根っこを銀時は何とか捕まえた。
「アホか!」
「送ってもらうの申し訳ないよ。
私ほら、昔から雨好きだし」
と、言い訳を続けようとするAの言葉を遮るように雷が響く。
ピカリと当たりを光らせ大きな音を鳴らせるそれに
Aは知らぬ間にひしと銀時に抱きついていた。
「雨は好きでも雷は大の苦手だったろ」
今も変わってねぇだろ、と言って傘を2本引っ張り出す銀時。
Aはといえば、放心状態で銀時に抱きついたまま。
「大丈夫ですか?」
「おぉ、新八こそ、今日泊まってったっていいからなー」
「僕は姉上がいるから帰りますけど・・・
銀さんが帰ってくるまで神楽ちゃんと居ますね」
さすがにこの土砂降り、停電の可能性もあれば
雷に恐怖する女の子を見たあとに家に1人夜兎と言えど女の子を1人には出来なかったのであろう新八が銀時にそう告げる。
頼むわ、と新八に手を挙げAを引き剥がす銀時。
引き剥がされたAはもう一度銀時に抱きつこうとするものの
頭を押さえつけられて一向に進まないというサイレントコントを繰り広げる。
そんなものももう見慣れたのか、新八は突っ込むことも放棄し家に戻っていった。
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RIO - 続きが読みたいです!!! (2022年3月14日 2時) (レス) @page21 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あい | 作成日時:2021年9月1日 0時