19.嫌われたくない ページ19
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「わ、たしに、こたろが、飽きたら?」
再び溢れ出す涙に銀時は頭を搔く。
そんなわけねぇだろ、一言言ってしまえばそれまでだが
Aは変なところで引かないもので、それを言って変わるかどうか、銀時にも分からなかった。
ただ、ホロホロと泣き出す瞳は既に赤く腫れ、
いつもの大きな瞳がそこに無いことだけは、銀時にもはっきり分かっていた。
「A。
今日は神楽も、新八もいるから、家こい。
ヅラには言っといてやるから」
「やだ・・・っ言わないで、言っちゃいや。
また、また幻滅され、嫌われちゃ・・・」
自分で言葉にするせいで余計に顔を歪めるAを銀時は見ていられなくなった。
何故こんなにも泣き続ける妹のような存在を見ていなければいけないのか。
元はと言えば桂があそこにいたのが悪いのではないか。
そんな考えだけが頭に浮かぶ。
大丈夫だから、そうAの肩を擦り
ゆっくりと歩かせ、静かに帰路を辿る。
「できるだけ前見て歩けよ」
「・・・銀時・・・私、小太郎のこ、と、好きなの。大好きで・・・。
そばに、居られるなら、何番目だって、いいの・・・でも、」
言葉にならない言葉で、掠れた小さな声で
嫌われたくない、そうAが言ったのを、銀時ははっきりと聞いた。
分かってる、銀時は心の中で呟く。
昔から、Aの眼中には桂しかいなかったことなんて
共に暮らしてきた全員が知っている事だった。
桂よりもよっぽどAが重いことは、本人たち以外が満場一致で思っている。
桂がいなければ、Aがボロボロになることも、
桂が死ねば、後を追うように死んでしまうだろうことも
銀時はよく分かっている。
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RIO - 続きが読みたいです!!! (2022年3月14日 2時) (レス) @page21 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あい | 作成日時:2021年9月1日 0時