3.女 ページ3
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どんだけ金を使ってんだか、と煙を吐いた。
どでけぇドアを叩くと
メイド服を着たロボットのお出迎え。
こりゃとんだお嬢様が出てくるな。
「こんなとこに住んでたら肥えて豚になっちまってそうですねぃ。
可愛い女なんて、期待しないほうが身のためですぜぃ」
「誰もんなもん望んでねぇよ。
なんで俺が女目当てで来たみたいになってんだ」
ふっと、何を考えているのか分からない笑みを浮かべて俺の視界から消える総悟。
なんなんだとツッコみたいところだが、ここは俺が折れよう。
それにしても、あのドア…というより、門を抜けてから玄関までが遠い。
さすがに将軍の住んでる城にゃかなわねぇが。
ちらりとあたりを見回した。
特に理由はなかった。
ただ、なんとなく、右を向いた時だった。
太陽に反射して、白っぽく見える、色素の薄い茶色。
長い髪が重たそうに見える、ちっせぇ顔。
そこらに舞ってる蝶々が余計に雰囲気を引き立たせた。
これは…。
「A様、ここにいらしたのですね。
外は寒いから、中に入っているよう言われていたではありませんか」
俺が立ち止った一瞬に気が付いたのか、単純にそこに主人がいると分かっただけなのかは分からねぇが、機械のメイドは冷えますよとそのおんなをこちらへ連れてくる。
女、という雰囲気だった。
そりゃ目の前にいるのは女だ。
だが、こいつぁ俺の知ってるゴリラ女でもバカ力女でもねぇ。
漂う雰囲気、たたずまい、表情、微笑み、
それらすべてが、綺麗で。
「誰ですかぃ、豚とか言ったの。最低だな土方」
「お前だろうが」
いつの間にか見とれてしまいそうで、
咄嗟に、目を反らし、なんとなく、たばこを消した。
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作者名：あい | 作成日時：2021年1月19日 22時
