☆ヒビ割れた音がした ページ21
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__その時だった
なんの躊躇いもなく開けられたドア
その音で、頭の中に警告されたように俺はすぐに唇を離した
、でも
こいつは腕に力を入れて引き寄せ、また唇を重ねてきた
俺は手を腰に回されていたために
俺からキスしてるような体勢になってしまって
すぐに唇を離し、ドアの方を見ると
俺を睨む玲於さんと
涙を流すAがいた
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…その瞬間
もう、二度と元の関係には戻れないと
そう
Aに言われた気がした
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ただ呆然と立ち竦む俺
目の前で暗く笑うこいつ
拳に力を入れながら向かってくる玲於さん
俺はこの瞬間、初めて
” なんてことをしてしまったのか ”
と、我に返った
それと同時に
こんなことになる前に、何も出来なかった弱い自分自身に
情けなくて腹が立った
.
.
玲於さんに胸ぐらを掴まれ、怒鳴られていた数秒間
俺は玲於さんに言い返す言葉も
Aに話す理由も
何も、浮かばなかった
Aが震える手で、玲於さんの手を握った時
玲於さん越しに目が合った時
俺には追いかける資格もなければ、
呼び止める権利もなくて
.
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…こうやって
溝は深まっていく
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作者名:もも | 作成日時:2017年8月22日 0時