拝啓ブライズメイドの君へ【センラ】

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そう言って目の前に差し出された指輪。




全くもって状況が読み取れず、ただ呆然とするしかできない。




「…なんか、言ってや」





頭を下げていた彼がこちらの反応を伺うように上目遣いで見上げてきた。





「…なんで、？」





「ずっと、考えてた。でも、結婚は全く。でもさ、A、1人になることずっと怖がってたやん」






もしかして前に泣いた時のことだろうか。






「俺は、まだ両方とも親おるし、なんなら、1人になるって泣いたことなんてないから、正直気持ちはわからんかもしれへんけど…。けど、さ。俺が家族になったら1人や無くなるやろ？」





そう言って笑いながら頭をかく。





「お母さんが病気って聞いてから、ずっとこの事考えてた。もっと早く言いたかったんやけど、ここんとこ忙しくて。今日やっと指輪とりいけたんよ」





「…今日？」






「そ。だから走って病院行って、Aとお母さん驚かせよう思ったのに、間に合わへんかった…」






これは私のうぬぼれかもしれないけど、もしかしてここまで彼とすれ違いまくっていたのは、全部このためなのだろうか。






ここ数日、やけにロマンチスト思想な私だけれど、これは勘違いじゃないといい。






そう思って、こう尋ねた。






「結婚してあげてもいいよ。でも、絶対離さないけど、付いてこれるの？」






「望むところや」






満面の笑みで彼は答えた。

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