君の一番にはなれない。【志麻】

なりたい 10 ページ11

志麻side




指定された店に着きドアを開けると、心地よい鈴の音が耳に入ってきた




店内を見回すと、入り口から比較的近いテーブルに見慣れた後ろ姿を発見



近付いて、声をかけた



志「…センラくん」



セ「おぉ、志麻くん」




独特のイントネーションで応答するセンラくん




俺を少しの間じっと見つめたかと思うと、向かいの席に座るよう促した



セ「…久しぶりやなぁ、志麻くん」


志「そう？いうて1週間位前会わへんかった？」



セ「で、どう？最近Aとは」



いきなり核心をついてきたセンラくん



此処に俺を呼び出したのも、十中八九このことを聞くためだろう



予想はしていた



でも、実際にこのような状況になると言葉が喉に詰まったように出てこない



志「……ｯセンラくんには……関係ないやろ」



やっと絞り出した言葉がこれ



違う、こんなことが言いたいんじゃない



センラくんがAに何か相談されて俺のとこに来ていることなんて分かりきってる



センラくんとAは仲が良いし、お互い信頼し合ってる




俺はそんな二人が、センラくんが羨ましい




本来ならそこは俺のポジションやったのに…




自分が100%悪い



Aの気持ちに見て見ぬふりをしたた



Aの気持ちを蔑ろにしてきた罰だ





これから、どうしたらAと普通の恋人みたくなれるんやろ




考えても、考えても良い案が思い浮かばない





センラくんはずっと向かいで難しい顔をして口をつぐんでいた









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