24話 ページ24
「……死んだはずの、妹…？」
きりやん様が呆然と繰り返した。
『…家族は、みんな死んだはずなんです。みんな私と同じスパイで、…それで、国王に捨てられて』
『スパイって、当然普通の兵が知らない機密情報も知ってるわけじゃないですか。だから、捨てられるときは口封じに殺されるんです』
妹が死んだ理由は、それだけじゃないけれど…
それを皆様に言う必要はない。
ただ、今は、
『………ごめんね……』
あの時謝れなかった分を。
『…生きていたなら…もっと早く、謝りたかったよ…』
視界が滲んだ。急いで拭って、冷え切った頬に手を触れる。
もう、生きていない。私の声は、届かない。
冷凍保存。そのせいだけじゃない冷たさに、心が痛む。
『………私の妹が、大変申し訳ありませんでした。煮るなり焼くなり好きにしていただいて構いません』
「…え…いや、でも…」
『この子はそうされるだけのことをしたんです。スマイル様を、殺そうとした。だから、皆様の好きにしてください』
「………だけど、Aの家族なんでしょ…？」
『私もいずれ、地獄に落ちますから。またそこで会えます』
場の空気に耐えられなくなって、地下室を出て自分の部屋に籠る。
……思い出したくない。弱っている今は。
「……A…？」
外から、スマイル様の声がした。
『今開けます』
扉を開いて、招き入れる。
「……その…昔何があったかは、言いたくなければ言わなくていいけど…無理は、しないでね」
心配そうに寄せられた眉。相変わらず綺麗な、紫色の瞳。
「俺にできることがあったら、言って」
『…じゃあ、一つだけ、いいですか…？』
「うん」
消え入りそうな声で、それでも頑張って、聞こえるように言った。
『……抱きしめてください』
今はスマイル様の温もりに包まれたかった。人の温かさを感じたかった。
「…！…分かった」
ぎゅっと抱き寄せられる。
スマイル様の、少しだけ早い心音が聞こえる。
…あぁ、
『………あったかいなぁ……』
涙が止まらない。
明日になったら、立ち直ろう。
今だけはもう少し、このままで。
____________
〜コメント返信〜
○いるむー 様
コメントありがとうございます！ありがたいお言葉…！応援もありがとうございます、これからも頑張ります！
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すみれいん(プロフ) - らむね☆さん» いえいえ！私も言っていいものか迷っておりまして…。もしあれならこの誤字のやり取り消してもらって大丈夫ですので！！ (6月7日 23時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
らむね☆(プロフ) - すみれいんさん» わわわ…ありがとうございます。たまに気付いてない誤字あるんですよね…！指摘凄く助かります！ (6月7日 21時) (レス) id: 5aa85bc4da (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - たまに読み返しに来てます。いつも読みふけって忘れてしまうのですが47話の大先生さんの件のお話のciが訂正するところ、こいつの名前っていう所がこいつほになってますよ(こそっと) (6月7日 15時) (レス) @page47 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
だいふく - smさんと夢主はよくっつけ〜！めっちゃラブラブカップルになる予感！これからも投稿頑張ったください！ (2023年1月5日 21時) (レス) @page50 id: 8b39de642b (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - 続きまってますﾜｸﾜｸ (2022年10月5日 17時) (レス) id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らむね☆ | 作成日時：2022年5月19日 15時
