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No side
囚「まずは俺だ」
前へ一歩踏み出した男は、自信たっぷりといった表情で堂々と部屋の中央に立った。
リ『相手は?』
リッポーの声がスピーカーを通して響いた。
囚「そこの嬢ちゃんだ。やっぱり確実に勝てる相手の方がいいよな。俺はさっさとこんな所とはおさらばしたいんでね」
貴「うん、いいよ。なんか、お前1番弱そうだなみたいに言われてイラッときたし」
ナ「短気…」
貴「うるさいっ!」
軽口を叩きながら前へ出るセイラに、男はセイラの顔の2倍ほどある手をゴキゴキと鳴らしながらニヤニヤと笑いかける。
囚「随分と余裕そうだなぁ?俺は片手でドラム缶だって潰せんだ。そんだけの力で嬢ちゃんの顔を握り潰したら、どうなるかな〜?」
貴「やってみれば?出来ればの話だけど」
はっ、生意気な、と口を開きかけた男の前に、既にセイラの姿は無かった。
貴「あれ?
リ『元々そういう依頼だ…』
貴「りょ〜か〜い!」
頭上から聞こえた声に、とっさに顔を上げた男。
しかし、姿を捉えたとて無意味。
貴「んじゃ、お疲れ様でした〜」
ゴキッ、という気味の悪い音が響く。
セイラの踵が男の脳天を砕いていたのだ。
男の顔面は無残に圧縮され、目玉や歯も数本飛び出る。
うへぇ〜、と嫌な顔をしたセイラはすぐさま踵を返し、レイたちの元へ戻る。
カ「おつかれさまです♪たのしかったですか?」
貴「いんや?全く」
ワ「私もあれくらいでは満足いきませんねぇ…
もっと腕のある方を希望します!」
なら、と別の男が名乗りを上げた。
囚「俺はお前のせいでここに入れられたんだ!
あの時お前の邪魔が入らなければ、金も持ち出して逃げ切れたのに!」
シ「ん?僕かい?」
ワ「この流れは普通私でしょう…」
男はシュウをまっすぐ指差していた。
シ「はぁ、全く…これだから俗物は面倒なのだよ。君が捕まったのは、君の実力不足。
まぁ、僕たちに遭遇してしまった不幸もあるだろうけれど…」
違うかね?と首を傾げながら男に歩み寄る。
そのあまりに自然な、まるで他人とすれ違うかのような動作に男は困惑し、あ、とかうぅ、といった呻き声しか出てこない。
シ「カカカ!さっきまでキャンキャンと威勢良く吠えていたのにこのザマかい?全くつまらないね」
シュウと男がすれ違った瞬間、首があらぬ方向に曲がったまま男は膝から崩れ落ちた。
一切無駄のないその動きに、キルアは自分の兄を思い出したとか…
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作者名:バレーノ | 作成日時:2019年2月1日 15時