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12.なんだったんですか。 ページ13

携帯やかばんなど、元から持っていたものには変化なし。時間は30分しかたっていない。疑う余地のないほど完璧に戻っていた。連絡も取れる、アプリも問題ない、外からは一部の中学生の声もする。信じがたいな、という蒼太をギャフンと言わせるレベルで完ぺきだった。

 結局あれは何だったんだろうと思いめぐらす私たちの間に会話はほとんどなく、目を覚まさないクラスメイトをおんぶして建物から出た。
 そこにはいつもの光景があった。人が消えたらしいという噂もそのまま残っていたけれど、先生たちは私たちを見た瞬間、普段では考えられないような猛スピードでこっちに向かってきた。

「皆さん!心配したんですよ!」
「あなたたちも消えたのかと……」
知っている先生はこの中にいない。ただこの緊急事態、30分も帰ってこない生徒がいたら心配にもなるかと妥協するけれど、体験したことを言ってはいけない気がしたので適当にはぐらかしていた。

「……その彼、まさか」
後からやってきた理科の井上先生がつぶやいた。私はもう一度、健の背のクラスメイトを見る。膝の擦り傷は、渡辺先生とぶつかったときにできていたもので、かさぶたになっていた。間違いありません、落ちた彼です。
「落ちたのに出てきた……?そんなこと、今までになかったはずだ!」
周囲がざわめく。私たちが『あっち』から成り行きで連れてきたとか絶対に言えない。質問責めルートか、と身構えたけど、そんなことにかまってられないのか、とりあえず帰れの一言だけだった。彼は結局目覚めなかった。

消えた人が帰ってくるなんて、本当に一度もなかったらしい。

「……じゃあ」

最後まで静かなまま、校門前で別れた。電車を使うのは私と健、理紗は自転車、蒼太はまさかの徒歩。電車を待つ間も、乗ってからも、私たちの間に会話はない。普段から考えるとこんなこと、異常以外のなにものではないけれど、短時間の間に色々ありすぎて、逆に話すことがない……そんな感じ。
気まずいなと思っていると、二人の携帯が同時にピロンと鳴った。同時にアプリを開くと、

蒼太が理紗を『ゲーマーグループ』に招待しました
理紗が『ゲーマーグループ』に参加しました

私たち3人のグループに、理紗……みるくさんが加入していた。もう家に着いたのか、早い。
彼女のあいさつに応えた後、健が意外な発言をした。

13.意外にも程があると思いますが。→←11.そんなことがあるんですか。



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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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シュウ - 待っ…面白いです! (2021年9月3日 0時) (レス) id: f920010a89 (このIDを非表示/違反報告)
- 読んでいて楽しいです!こんなおもしろい作品をつくってくれてありがとうございますっ!これからも応援してます! (2021年5月8日 20時) (レス) id: b0074abe1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みーちゃん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年11月30日 21時

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