ご主人は早とちり ページ6
＿
少し日が暮れ始めたころ、ご主人が訓練を終え、着替えを行うため、部屋へ戻ってきた。
「お帰りなさい」
「ん」
「ご主人。お昼過ぎにこの紙と”今日までの書類を提出してほしい”の伝言を」
と、忘れないうちにお昼の眼鏡さんからお願いされたことを坦々と述べていると、私が全て話す前に、肩を強く捕まれ、壁に押し付けられる。ドンっと鈍い音が響く。目の前には、近距離に迫ったご主人の顔。額には青筋。ひどく怒っている様子で、自分の頭の中でやばいと警告が鳴り始める。
「お前、部屋の外出たんか」
「いっ、」
抵抗しようにもびくともしない両肩が悲鳴を上げている。
「で、出てないっ！勝手に入ってきたんです！」
「…ほんま、か」
肯定の意を込めて、頭を縦に振る。
ご主人は私の瞳を見つめ、一息つくと解放してくれた。痛かったぞおい。
「ちょっと、早とちりとちゃいますの！？」
「誤解するような行動する方が悪い」
「理不尽！！！！」
「やんのけ？」
「おーおーおー、やってやろうじゃないですか」
「ええ度胸や」
グイっと引き寄せられた先は、ベッド。そこで、グイっと服を持ち上げられる。先ほどの一件で赤くなった肩が見える。空気が直に肌にあたって、身震いする。
「ぎゃっ！なんちゅー、ちょっ、何してん！？」
「ほんまうるさいやっちゃな。あ、赤くなっとる」
そりゃあ、あれだけの力で掴まれていたならね。ねぇ！？
先ほどから混乱しまくりの私は、抵抗する考えに至る間もなくされるがまま。
ご主人は、私を逃さないと抱きしめながら腰に腕をまわし、赤くなった私の肩に唇を据えた。初めてのぞわぞわした感覚が背筋をつたって気持ち悪い。
「ほ、ほどほどに…、離れ、て」
「嫌や」
「ええ加減にしろやっ！！こんの狼野郎！！！！」
頭を振りかぶって頭突きをかます。生存本能赴くまま全力でやったため、ご主人にも私にも頭に大ダメージ。ご主人が少しでも顔を離したすきに距離をとり、頬を叩いてやった。
ぱちーんと綺麗な音が響いた。
・
「肩にキスされた…。というか、ご主人の誤解で私肩に怪我負わされたのに、更に追い打ちかけるとか、どんな神経してるんやろ、なぁ」
「…」
「謝ったりしませんから、反省してください。
そろそろ食事の時間ですよね。行ってらっしゃい。そのまま帰ってこなくても結構ですよ。では」
容赦なく部屋の主を追い出し、パタンと無慈悲に扉は閉めてやった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 679人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑞稀(プロフ) - 完結おめでとうございす！！電車でラストを見たせいで涙が止まらずやばいやつに……悲しいけどとてもおもしろかったです！ (2022年4月7日 14時) (
レス) @page44 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - 完結おめでとうございます！！このお話を読んでの感想は…いや言葉に出来ますかね……knさんの実は優しいというギャップにキュンって来ました。最後が悲しくて泣いちゃいます！でも、お話の内容が凄かった…全て最高でした。ｱｻﾞｽ (2022年3月26日 9時) (レス) @page44 id: cce170ead2 (このIDを非表示/違反報告)
フィルライ(プロフ) - 最高でした！最後悲しくて泣いてしまった。もう少し続いてほしかったのが本音ですが、今まで投稿お疲れさまでした！ (2022年3月18日 7時) (レス) @page44 id: 5dffbeb247 (このIDを非表示/違反報告)
むっちゃまっちゃ - なんだかんだ優しいknさん...好こ... (2022年3月4日 21時) (レス) id: 41cf5c918b (このIDを非表示/違反報告)
みひろ(プロフ) - めっっっっ………ちゃくちゃ面白いです！！！ヤンデレじゃない監禁ものでこんなおもろいの初めて見ました好きですありがとうございます。こういうコネさんもいいなぁ… (2022年2月21日 9時) (レス) @page17 id: 3e57ef0344 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2022年2月7日 19時
