ご主人甘くない ページ24
＿
「コネさんやん。この子、医務室に連れていくとこやけど」
訓練合間の休息時間に、走ってきたのか、少し息を切らしている。手元には、水の入ったボトル。私と天使さんを見て、ご主人は顔を歪めた。
不機嫌だなあ。日々一緒に生活していく中で鍛えられてきただけある。だからこそわかる。今日は、というより今は一段と不機嫌であることが。
具合が一気に悪くなったような気がする。
背筋をつたう汗、寒気、目の前の殺気に自然と身体が震える。こんな自分は無力だったかと思ってしまうほど、無抵抗にその場の雰囲気に身体が流される。
「ロボロ、そいつ俺のやねん。部屋まで送るから返せや」
「…え」
「帰るぞ」
強制的に天使さんの背からはがされ、地面に落とされるとそのまま脇で担がれた。
自然と気管が閉まる体勢にバランスを崩し、けほけほとせき込む。慣れることのない喉にくる激痛。
涙目になりつつも、私がご主人の持っている水のボトルに目をやると、察してくれたのか渡してくれた。そのまま、水を口に含む。
「…っ、ぁがっは、は」
が、そのまますんなり水を飲み込むことに失敗。嚥下する際、再び激痛がはしり、含んだ水を全て吐き出してしまった。ダメだこれは。
水で濡れた廊下。私が吐き出したものを使用人に拭かせるのは…と思い、回らない頭で考えた結果、自身の袖で廊下を拭く。
廊下の掃除をしている最中、ご主人が私へ渡してくれたボトルをひょいっと取り上げ、そのまま自身の口へ水を流し込んだ。なんだ、彼も喉乾いていたのか。
間もなく、ご主人の顔が近づき、唇に柔らかい感触。
あぁ、ご主人の整った顔が目の前に、かっこよ。なんて呑気に考えている間に、隙間からどんどん口移しで流れ込んでくる水。口の中いっぱいに水が溜まって飲み込もうとするとき、反射的に吐き出そうと体が動くものの、ご主人が吐き出す隙も余裕も、空気も与えてはくれなかった。
こくん、こくん
「…喉乾いたんやろ」
その後もしばらく、水を飲まされた。
お水はほんのり煙草の苦い味がした、気がする。
＿
くたりとコネシマに体重を預けている彼女。
どうやら、彼女こそが、「噂」の女の子らしい。
「にしても、人前で破廉恥やぞ！」
「ちと刺激強かったかぁ」
「なめとんか！」
「煩いわ、起きるやろ」
それにしてもこの時間俺の存在忘れられてへん？
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瑞稀(プロフ) - 完結おめでとうございす！！電車でラストを見たせいで涙が止まらずやばいやつに……悲しいけどとてもおもしろかったです！ (2022年4月7日 14時) (
レス) @page44 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - 完結おめでとうございます！！このお話を読んでの感想は…いや言葉に出来ますかね……knさんの実は優しいというギャップにキュンって来ました。最後が悲しくて泣いちゃいます！でも、お話の内容が凄かった…全て最高でした。ｱｻﾞｽ (2022年3月26日 9時) (レス) @page44 id: cce170ead2 (このIDを非表示/違反報告)
フィルライ(プロフ) - 最高でした！最後悲しくて泣いてしまった。もう少し続いてほしかったのが本音ですが、今まで投稿お疲れさまでした！ (2022年3月18日 7時) (レス) @page44 id: 5dffbeb247 (このIDを非表示/違反報告)
むっちゃまっちゃ - なんだかんだ優しいknさん...好こ... (2022年3月4日 21時) (レス) id: 41cf5c918b (このIDを非表示/違反報告)
みひろ(プロフ) - めっっっっ………ちゃくちゃ面白いです！！！ヤンデレじゃない監禁ものでこんなおもろいの初めて見ました好きですありがとうございます。こういうコネさんもいいなぁ… (2022年2月21日 9時) (レス) @page17 id: 3e57ef0344 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2022年2月7日 19時
