ご主人風邪ひきました ページ22
＿
「ほな、食堂行ってくるけど…って」
ぽわぽわ視界の焦点が合わない。ご主人の顔が、室内の風景が全て歪んで、ゆるんで見える。
火照った体と、頬をつたう汗から、総合的に判断するとですね。
「うつった…風邪」
＿
予想以上にしんどい、が。
「寝れば治りますので仕事しろ」
「めっちゃため口やんけ」
「看病なんていりません。ご主人こそ、昨日一日休んだせいで業務溜まっているのでしょう。私に構う時間なんてないです！！！」
ご主人が私を看病なんて烏滸がましいと、お偉いさんに言われてしまいます。
何度も大丈夫、寝れば治る、平気だというのに、ご主人は聞き訳が悪い。くそぅ、こうなったら最後の手段じゃ。
「ご主人の声五月蠅いので、頭に響きます」
ここまで言えば、ようやく堪忍したのか分かったと口にした。
「ちゃんと寝るんやで」
念を押すように言われ、ベッドから横たわりながらはーいと情けない返事をした。ご主人が部屋を出る寸前聞こえた「心配ぐらいさせろや」と言う言葉は無視した。走り去る音が聞こえ、これで快眠できると思う反面、少し寂しいな、なんて。
あー、熱しんど。
＿
「っ、あ”っ、はっ」
ふと目を覚ました。嫌な夢を見ていた気がする。お昼過ぎだろうか、太陽はまだ高い位置にあり、窓から活発な軍人さんの声が響く中、私は部屋で悶えていた。
ポタリ、ポタリ異常な汗が噴き出す。
喉が焼けるように痛い。ひりひりする。
視界が定まらない、力が上手く入らない。
「っ……、、ぁ…」
助けを呼ぼうにも、口から出るのは掠れた小さな音。あぁ、一人になったことを後悔するも時すでに遅し。
水。お水が欲しい。
生理的に溢れる涙を無視しながら、ベッドから崩れ落ちる形で降り、壁をつたいながら、ドアノブに手をかける。食堂さえいければ、水を飲めるし。運良ければ誰かに風邪薬か何かをもらえる…かも。
−必要以上に人と接触するな−
お偉いさんの言葉が頭に木霊する。
−ふざけんな。その損害は誰が補償すんねん−
紅いマフラーさんは正論を放つ。彼らにメリットなんてゼロに等しい。
−嘘はつかない方が身のためめう−
知ってる。でも、真実は受け入れてくれるの。ヒトではない私の言葉は…。
−心配やねん−
「ご、っ…し、じん」
ご主人の言葉を思い出し、我に返る。ドアノブを手にかければ簡単に扉は開いた。
彼の命に背き、私は勝手に部屋の外へ出た。
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瑞稀(プロフ) - 完結おめでとうございす！！電車でラストを見たせいで涙が止まらずやばいやつに……悲しいけどとてもおもしろかったです！ (2022年4月7日 14時) (
レス) @page44 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - 完結おめでとうございます！！このお話を読んでの感想は…いや言葉に出来ますかね……knさんの実は優しいというギャップにキュンって来ました。最後が悲しくて泣いちゃいます！でも、お話の内容が凄かった…全て最高でした。ｱｻﾞｽ (2022年3月26日 9時) (レス) @page44 id: cce170ead2 (このIDを非表示/違反報告)
フィルライ(プロフ) - 最高でした！最後悲しくて泣いてしまった。もう少し続いてほしかったのが本音ですが、今まで投稿お疲れさまでした！ (2022年3月18日 7時) (レス) @page44 id: 5dffbeb247 (このIDを非表示/違反報告)
むっちゃまっちゃ - なんだかんだ優しいknさん...好こ... (2022年3月4日 21時) (レス) id: 41cf5c918b (このIDを非表示/違反報告)
みひろ(プロフ) - めっっっっ………ちゃくちゃ面白いです！！！ヤンデレじゃない監禁ものでこんなおもろいの初めて見ました好きですありがとうございます。こういうコネさんもいいなぁ… (2022年2月21日 9時) (レス) @page17 id: 3e57ef0344 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2022年2月7日 19時
