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『ﾎﾞｰｰｰ…』
??「おい、ボーッとしとんな」
『あぁ、すばるさん…』
彼はここ、Cafe ERの店長、渋谷すばる。
渋「ほんま、ここに入るやつはみんな恋愛恋愛って…」
『私はまだ何も言ってません』
渋「なんや、イケメン彼氏に振られたか。」
『……ドタキャンされました』
渋「くぅ〜〜〜〜〜！」
飯が美味いわぁ！って。
すばるさんに言ったのが間違いだったか？
渋「ふぁ〜〜…笑った笑った…。で？どないしたん」
『っもう…クリスマスとクリスマスイヴとでお互い勘違いしてたんです。』
渋「今日の夜会えばええやん」
『バイトだからいいって断りました』
渋「可愛くない女やなあ」
そんなの言われなくてもわかってる。
渋「あ、タバコないわ。買ってきてや」
『私まだ未成年です』
渋「ほぼ20歳やろ」
大倉くんは私の誕生日なんて覚えてないんだろうな。
渋「あーあ、ほんまに…ほな店番任せたわ」
『5分以内ですよ〜』
すばるさんのおかげで、
バイトが終わる頃には煙草の匂いが染み付いている。
『おまたせしました、ミルクティーです』
うちは昼間は女性客で賑わっている。
多分だけどすばるさんの顔。
渋「あそこの客まだおったんやな」
『すばるさんが変に構うからですよ』
渋「ライター取って」
『聞いてます？』
レジの近くに置いてあったライターを渡す。
渋「ん、お前の仕事はこれで終わり。」
『え？』
渋「もう上がってええよ」
『だってまだ…』
渋「お前はこのライターを俺に渡したことで、夜のシフトの分働いたってことや」
なにが言いたいんだろう。
『嫌ですよ。夜の方が給料いいし』
渋「…そのまま付けたる」
『なんですか、そんなに帰って欲しいですか』
渋「ええから、帰れ」
なんだよ、と思いつつ少し嬉しかったり。
帰って何しようかな。
『お疲れ様です』
渋「おつかれ」
お店を出て、家に向かって歩き始める。
すると、いきなり後ろからなにかが覆い被さった。
『きゃっ…』
？「……ごめん」
間違えるはずもない大好きな人の声。
『…なんで？』
大「…さっき、店長さんと会って…」
〜〜〜〜〜
渋「うちの店になんか用でも？」
大「あ、いや…その…」
渋「…そこで待っとき」
〜〜〜〜〜
大「今からケーキ買いに行こう…？」
『…駅逆だし…(泣)』
大「一緒に行こう^^*」
そう言うと大きな手で私の手を握り、
家と逆の方向にずんずんと歩き始めた。
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作者名：ゆりかご | 作成日時：2021年4月17日 23時
