とある科学の現実物質（リアリティマター） (ページ6)

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4話　① ページ6

私は驚きすぎて男の言葉を理解するのが遅れてしまった

この男は1ヶ月ほど前に行われていた一方通行のLEVEL6シフト実験の私バージョンをしようとしているんだ

私は無敵と呼ばれるLEVEL6なのにも関わらず、この男はそれに飽き足らずもっと上の無限能力者と呼ばれる

LEVELXに私を進化させようというのだ

しかも、殺す対象が私のクローン_____

非人道的を通り越して、こいつは本当に人間なのか疑うレベル

人間の皮を被った悪魔と言われても疑わないだろう

「君が殺す妹達は1000体！一歩通行のように20000体も殺さなくていいんだ！」

まるで自分の考えた実験が素晴らしいと思っているような男の振る舞いに虫唾が走る

こいつは人の命をなんだと思ってるんだ

クローンといっても、私の妹になってその妹を自分自身で殺さなくてはならない

この男に対して怒りがふつふつと湧き上がってくる

「この実験やってくれるね？」

『.....やるわけないでしょ』

私は真剣な眼差しで白衣の男を睨みつける

こいつは自分の実験がどれだけ人徳から外れているか理解していない

私の答えを聞き、男は小さくため息をついて私に向かってきて、私の耳元で最悪な言葉をつぶやく

「そっかー。.......じゃあ、この実験を彼に(・・)するしかないな～」

『なっ！？』

男はニヤニヤしながら、私を見下ろす

こいつはこう言えば私が必ず酷い実験だとしても受けるとわかっているからこそ、いろいろな実験を考えてくる

前の研究所とその酷い実験達のおかげで、元々の髪が黒色だったのに茶色に変化し

瞳の色も黒色だったのに薬の副作用で色素が薄くなり、茶色と黄色になってしまった

彼が助かるのなら私はなんだってする

酷い実験だって受けてやるという気持ちになる

彼と交わした幼い頃の約束を破ってでも、彼のそばにいられなくても彼を守ることができるのならそれでいい

『......わかりました』

「フッ、じゃあ実験の詳細は妹達の調整が完璧に終わってから送るよ」

私はチッと男に向かって舌打ちをして、研究所の出口に向かう

彼らは私の大切な”彼”の存在という弱みを握っているからLEVEL6の私相手にも有利に話を進めてくる