若武先生の日常。

子供たち ページ10

｢……ねえ、おにーちゃん。サッカーできる？｣



チョン、チョンと 俺のシャツの袖を引っ張る女の子。
さっきの アイツと一緒にサッカーしてた子だ。


｢僕らと一緒にやろうよ！｣



見れば、俺の ブランコには小さい……一年生くらいか？それくらいの年齢の子達がいっぱい。


その中には、茶髪の彼はいなかった。
少しだけ遠いところで、こっちを心配そうに覗いている。



いいけど、


あいつは、やらないのか……？




｢なあ、なんで俺なの？｣


口調が キツくならないように気をつけながら 問いかけた。そりゃそうだ、さっきまで 見つめていた奴が 誘いにきてないんだから。



｢あのね、光輝くんが帰っちゃうの。
ママに押しつけられた ジュクってところに行くんだって。｣

別の子が、後方を振り返りながら 寂しそうに言った。


ああ、そっか。光輝って あいつか！
それなら、納得だ。




｢それで、光輝くんが あの赤い服の人に代わりに遊んでもらえって言った！｣

｢だから、来たんだよー。｣

｢ねえねえ、遊んで！｣


次々に飛ばされる矢のような言葉たち。


大体はわかった。




｢オーケー。俺も サッカーやれるぜ。｣


｢ほんとに？やったぁ。｣


俺の応答に、嬉しそうな表情で歓喜の声をあげる子供たち。


やっべ、可愛い……。



後ろで、ほ、と安心したような光輝。
クルリと背を向けて、俺を囲んだ小さい子達にじゃあな、と手を振る。

そして、俺に向かってありがとうってペコリ。




あいつ、俺よりちっせーのに、すげ 良い奴。

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