蒼白 ページ20
「……
ごめん、勝手に泣いたりして。」
眉を下げ、申し訳なさそうにするアーヤに、大丈夫 といったように頷いてみせる。
「若武の話を聞いていたら、なんだか 無性に切ない気分になったの。
あなたの恋の相手は、私じゃないはずなのに、なんだか 私に向かって言われてるような気がして。
……って、こんなの おかしいよね、ごめん。
若武の愛の深さや、その子への強い思いが伝わってきて、涙が止まらなかった。
その子のこと、ほんとに 好きなんだね……」
頬にかかる透明な光を拭いながら、アーヤはいった。
その言葉に、くっ、と、喉まで出かかった言葉。
やっぱ、俺。
俺……!!
「っ、あのさ。」
どうしても 言いたい。
アーヤに、伝えたい……
「俺、アーヤのこと、」
っ!
……
そこまで 言いかけて、ぐっ と押し黙る。
そのせいで 言おうとした続きの言葉がふっと消え失せ、音になる代わりに、空気として 周りを震わせた。
頭からつま先まで サァッと急激に冷えていき、俺は 一気に我に返る。
やべ……今 なんて言おうとした?
勢いに任せて、なんてことを……
「……若武?」
正面から、心配そうに覗き込まれる。
多分、今の俺はとんでもなく蒼白な顔をしているんだろう……
覗き込まれたアーヤの大きな瞳に、これ以上ないくらいの 情けない姿が映っている。
「ああ……」
気力を振り絞って やっとのこと出した声は、掠れていた。
「そろそろ、帰ろうぜ。日の傾きが相当進んでる。」
半ばこじつけのようなことを言い、早々に帰りを促す。
彼女の表情は一瞬、不審げに彩られたが、すぐに納得したような顔をして頷いた。
そこからアーヤの家まで行き、自分の家まで どう帰ったのか。
正直 あまり覚えていない。
けど……
気づいたら、自分の部屋で 窓の外を眺めてた。
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ももすけ。(プロフ) - いっしーさん» いっしーさん、コメントありがとうございます^^*ついに、完結。長くもあり、短くもあったなあ……としみじみ感じております。温かい感想、本当に嬉しいです。気が向かれましたら、次作もよろしくお願いします! (2016年9月19日 18時) (レス) id: a9969baac4 (このIDを非表示/違反報告)
いっしー(プロフ) - 完結おめでとうございます!面白かったです!これからも頑張ってください♪ (2016年9月19日 9時) (レス) id: 21ef9b6105 (このIDを非表示/違反報告)
夢朱(プロフ) - ももすけ。さん» ももすけ。さんの、ボード行くべ! (2016年8月21日 0時) (レス) id: c4b339e06d (このIDを非表示/違反報告)
ももすけ。(プロフ) - 夢朱さん» え、そうなの?違う答え……大変だ^^;教えた問題違ってたら ちょっと悲しい(笑)これ以上はチャットになるかもしれないから、良ければボード来てもらってもいい?そっちで話そう^^ (2016年8月20日 23時) (レス) id: a9969baac4 (このIDを非表示/違反報告)
夢朱(プロフ) - ももすけ。さん» わかる!!!!勉強教えてくれる友いないわw教える側にされるwバカだから違う答え教えてしまうのだ。。 (2016年8月20日 22時) (レス) id: c4b339e06d (このIDを非表示/違反報告)
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