若武先生の日常。

夕焼け空の哀愁 ページ17

｢ねえ、若武……？｣


子供たちと たくさん遊んだ後、俺たちは帰り道を二人で歩いていた。


帰り道……っていっても、方向は逆だけど、な。
こんな時間に アーヤ一人で帰らせるのは物騒だから、俺がついていってるだけ。



｢なーに、アーヤ。｣

いつになく 儚げに 投げかけられた声に、ついつい その表情を伺ってしまう。

俺の気にしすぎかもしれないけど、なにか ある気がして。


｢今日ね、小さい子たちとたくさんお話し したの。
すごく 楽しかった。

けど、最近の子って、ませてるのね……｣


｢それが、どうしたの？｣


俺が 言葉を零すと、彼女は ふっと笑った。
まるで、今日のハイライトを思い出すように。



｢好きな人について、聞かれちゃった。

私、なんて答えればいいのかわからなかったの。
頭の中で、KZの皆が浮かんだんだけどね、それは 恋愛感情なのか、そうでないのか。

なにが正解か、なにが合っているのか。


そう考えたら、頭こんがらかっちゃって。
曖昧に 笑うことしか、出来なかった。



私、誰が好きなんだろ……｣



……


そう言いながら またしても笑ったアーヤ。
まるで、自分自身を 自嘲するかのように。


ゆらり ゆらりと揺れる髪を抑えながら 静かに 微笑んだ。




その姿は 夕焼け空に照らされて、一段と美しく、哀愁が漂っていて。



すごく、綺麗だった。

聞いて→←詐欺師、成功

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す