☆5 ページ6
「しんかいかなたです、あなたもいっしょにぷかぷか、しますか？」
「……あ、いや。遠慮しておきます」
「そうですか。それは『ざんねん』ですね〜」
あのあと大慌てで彼を海から引き上げて、現在自己紹介に至っている。
マイペースで不思議な雰囲気だけど、良い人そうだ。
ぷかぷかというのは、俗に言う水浴びのことだろう。……と私は勝手に思っているけれど。
後で聞いたのだが、深海さんは流星ブルーらしい。
これほどまでに青が似合う人ってなかなかいないんじゃないかと、今日初対面の私でも思うほどだった。
「これで自己紹介は全部終わったでござるな！あとは……」
「おっ、あれはあんずじゃないか？こっちに走ってくるぞ！お〜〜い、あんず〜〜！！」
守沢さんがぶんぶんと手を振っている方へ視線をやると、小柄な女の人がこっちへ走ってくるのが見えた。
彼女はあんず、と言うらしい。かわいい名前だな……。
「みなさんこっちにいたんですね、どこにいるのか探してました」
「そうだったんスね……」
「今、忍くんが連れてきてくれた助っ人さんに自己紹介してたところッス！」
南雲さんの言葉を聞いたあんずさんは、「そうだったんだ！」とハッとした表情になり、私の方へ向き直った。
「私、星野あんずっていいます。まだまだ駆け出しですけど、一応プロデューサーという立場で……」
すごい。夢ノ咲は生徒がプロデューサーなんだ。と学校のシステムに感動しつつも、私も「篠原です、よろしくお願いします」と頭を下げる。
……こんなかわいい人にプロデュースされるなんて忍、あんた相当な幸せ者だよ。
「今日は本当にありがとうございます、人手が足りなかったから手伝ってくれるって聞いて……」
「いやいや、気にしないでください。私も特に予定はなかったから……というか、寧ろよかったんですか？私みたいな一般人が関わって」
そう聞くと、あんずさんは「全然！」と首を縦に振る。
「忍くんが助っ人を連れてくるって聞いた時驚きましたけど、本当に助かります。……忍くんもありがとうね」
「えへへ、こんなのお安い御用でござるよ〜！」
あんずさんに褒められてすっかりご満悦の忍を見て、私は苦笑するのだった。
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