☆2 ページ3
一瞬何を言われたのか理解ができなくて、おもわず「え?」と聞き返してしまった。
しかし忍ははっきりと言った。
自分たちがやる合宿(ライブ込み)に付いてきてほしいと。
アイドルがする合宿に。
普通の、他校の生徒である私が同行する。
……許されることなのか?
普通に考えたらダメじゃないか、これは。
「ちょっと待って」
「な、なんでござるか?やっぱりダメ……?」
「いやダメとかいいとかの前に、まず私夢ノ咲の人間じゃないじゃん。全く関係ない学校の生徒だよ?普通ダメでしょ。アイドルだったら尚更、プライバシーの保護とかそういうの厳しいんじゃないの?」
一気にまくし立てると、忍は最初こそしゅんとしていたが、「あっ、その点に関しては大丈夫でござるよ!」と急に得意げになる。
……どの点に関してなんだ。
「Aちゃんという強力な助っ人を連れてくるとみんなには伝言済みであるからして!」
「……え?」
いや待て。
それ私が付いて行くこと前提になってないか……?
「それに、ちゃんとオッケーも貰ってるでござるよ。人手が足りないから大歓迎だって」
「嘘でしょ……」
「ホントでござるよ」
それでいいのか夢ノ咲。ガードが緩くないか。
もし私が傍迷惑なファンだったらどうするつもりなんだ。いやまあ、例えばの話ではあるけど。
……もうこれ、強制的に行かなければならなくなっているのでは。
「Aちゃんを連れてくるってもうみんなに言っちゃったし、後には引けないんでござる〜!どうかAちゃん、この通り!」
「……忍ってさ、何気に強引だよね。人の気も知らないで……」
頭を下げてきた忍に対し、少し嫌味っぽく言ってやれば「うっ」とバツが悪そうな顔をする。
「た、確かに勝手に事を進めちゃったのは、申し訳ないと思ってるでござる……でも、拙者にはAちゃんしかいないんでござるよ〜……」
そう言いながら私の手を握り、上目遣いで訴えかける忍。
今度は私が「うっ」と言葉を詰まらせる方だった。……なんだかんだで私は忍には甘い、ような気がする。
結局、私は――
「……はー。わかった、行く。ちゃんと付いていくし、手伝うよ」
「!! ほっ、ほんとでござるか!?」
「……嘘、って言った方がよかった?」
「それはご勘弁を〜!!」
忍の押しに負けて、合宿に付き添う道を選んだのであった。
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