花筏 〜最終話〜 ページ45
一瞬静まり返ったが、やがてそれは歓声に変わった。
「倒した！無惨を倒した！！」
「無惨が死んだ！！」
肩を落として泣く者、抱き合って泣く者・・・。
全員で戦った証だった。
「終わりじゃないぞ！怪我人の手当てだ！」
「泣くな馬鹿。しっかりしろ！」
隠が急いで救護に回る中、Aはその場で倒れ込んだ。
・・・義勇が何かを言いながら走って来るが、何も聞こえない。
痛みが、段々と薄れていく。
呼吸も浅くなっている気がした。
(私・・・もう死ぬのかな・・・)
長いようで短いような二十年。
いろんな人に巡り会って、いろんな人との別れがあったな・・・。
今まで私が笑顔でいれたのも、側にいる仲間のおかげだった。
・・・私を支えてくれる人がいたから。
視界がぼやけていく。
力が入らなくなる。
そんな中、目の前に人影が浮かんだ。
「あれは・・・」
私の大好きな人。
「錆兎・・・」
Aがつぶやくと、錆兎は微笑んだ。
「A。よく頑張ったな」
この言葉に、Aも微笑む。
・・・涙が止まらなくなった。
「A・・・」
やがて嗚咽が抑えきれなくなり、口に手を当てる。
そんなAを、錆兎は抱き締めた。
強く、優しく。
温かさに、溢れる涙も引いていく。
「これからは、一緒にいよう」
錆兎はAの手を取り、立ち上がらせた。
「うん・・・ずっと一緒だよ」
まるで桜が咲いたような笑顔で・・・。
二人は手を取り合い、歩いていった。
「A・・・」
ふらふらと近づいた義勇は、その場に崩れ落ちた。
死してなお、涙を流して微笑むAの頬に手を添える。
「相変わらず、無茶するなぁ・・・っ」
ぼろぼろと、義勇の涙が溢れ落ちた。
「ごめん・・・ごめん・・・っ」
そんな時、思い出したのは選別の直後だった。
錆兎が死に、己を責めていた俺にAが言葉をくれた。
十二歳ながらも、しっかりとした、重みのある言葉だった。
ーー義勇、過去は変えられない。だから、前だけを向こう。
その通りだった。
彼女は常に前を向いていた。
「A・・・」
もうごめんなんて言わないから。
「ありがとう」
俺を守ってくれて。
みんなを守ってくれて。
哀しみの涙が、朝日に照らされて光る。
それはまるで、彼女の美しい
心のようだった。
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レベ - 錆兎のお話見るたびに泣いてしまう…（感動の涙です。） (2022年11月16日 15時) (
レス) @page5 id: ea3111d08d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：組紐屋の夜桜 | 作成日時：2022年4月11日 22時
