色恋戦線 2nd【ars K.N】 (ページ30)

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「私との未来を考えてたって...どーゆーコトですか？」

腕をギュっと掴まれて、年甲斐も無くドキっとした。

「行間を読みなさい」
「...読みたくない...」
「どうして？得意でしょ？」
「...今は読みたくない...」

ちょっと生意気で、思わず笑う。

「『降伏』には、もう一つ意味があります」
「お」

何を言い出すのか面白くて顔を近付けると、彼女はオレが面白がってる事に気付いたらしく少し挑戦的な目をした。

「負けを認めた相手に従う事」
「フフッ、うん。そうだな」
「だから、私に従って下さい」

なるほど、そう来たか。

「先生が何言ってるか私全然分からないから...分かりやすく教え下さい」
「生意気だね」

ホンット生意気。

「お前との未来を考えたのも、お前から離れようと思ったのも、それでも会いたいと思ったのも」
「......」
「それはオレが、ね？」

でもそーゆー生意気なトコも、生意気なくせに不安げに泣き続けてるトコも、もう他のオトコには見せらんないなって思ってんだから。

やっぱり、キミの勝ちだよ。

「結城を、好きだから」

その表情を、隠しておきたいと思った。
彼女の周りに幕を張って、誰からも見えないように隠しておきたいと、そう思った。

「泣き過ぎ」

ボロボロ零れる涙を全然拭おうとしないから、仕方無く袖で拭いてやる。
ちょっと痛そうな顔。強すぎた？ごめんごめん。

「言わなくってもお前なら読み取れるでしょ」
「...だって...」
「ん？」
「...聴きたかったんだもん...」

あぁ...もう。
何なの。

いや、でも...

「可愛い、とかもう言っても良いか」

何か、言っちゃえば解放された気もした。

もう、黙ってる必要は無いんだ。

「はい、泣きやみなさい」
「...うぅ...」
「オトナなんだろ？」
「...先生が悪い...」
「悪いの？」
「...悪い...」
「ンフフ、そうですか」

グシャグシャと彼女の頭を撫でる。
ボサボサになっちゃってる髪も、文句無しに可愛い。

「まぁ、暫く泣いとけば？泣いてても可愛いし」
「絶対嘘だー」

笑いながら泣いてるキミも、ほら可愛い。

・

そんな可愛い彼女は、オレの運転する車の助手席で気持ち良さそうに寝息を立ててる。

昨日の夜あんまり寝れなかったって言ってたっけ。
遠足前の小学生かよ！って言ったら怒ってた割に、睡魔には負けてる。

ゴールデンウィーク、約束してた旅行。

本当はオレも楽しみでちょっと寝れなかったんだよねー、ってのは内緒にしとこう。