色恋戦線 2nd【ars K.N】 (ページ33)

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夕飯は、ホテル内のレストラン。
イタリアンと創作和食を選べたからAに選ばせてやると、和食。
そんな所まで日本好きだったのか。

「和也くん、和食の方が好きだよね」って言われたのは、食事の最後に出て来た飾り切りされた林檎を食べてた時だ。

Aは食事中から、時々ボー...っと料理を見詰めて固まったりしてた。
この後に話すんであろう内容を考えてるんだろう。
...にしても、そんなに緊張するような話が今更あるか？
オレに心構えしろとまで言うし。

食事を終えて部屋に戻ると、Aはソファに座ってフゥと息を吐き出した。

その隣に腰掛けると、ンンッと咳払いしてる。
少し、身体を寄せて肩が触れ合う距離に座り直す。

「さて。聞かせて貰いましょうか？」
「あ...はい」
「心構えは出来てるから、いつでもどうぞ」
「...あの...もしかしたら私を嫌いになるかもしれない事...なんだけど...」
「...え？」

嫌いに？
どーゆーコト？

「引くかもしれないし...って言うか、絶対に引くし...でも黙ってるのも隠し事してるみたいで嫌で...」
「ちょっと待って、何？隠し事あったの？」
「......うん」

ザワっと背筋が寒くなった。
何となく...本当に何となくだけど、Aは正直な人間だと思ってるから『隠し事』なんて無いと思い込んでた。

自分を奮い立たせるように、Aがギュウっと握った拳に更に力を入れてるのが分かった。

「あの、ね」
「うん」
「私、大学を東山に決めたの...本当は...和也くんの母校だったから、なの...」
「......え？」

え？何？
え？そんな事？

「あの時はそれだけは知られちゃいけない！って思って言えなくて、桜井先生の講義があるからって言ったけど...」
「......」
「本当は和也くんの行ってた大学に行きたくて...あ、でも桜井先生には出会えて良かったから結局はやっぱりそれも本当の志望理由になってたんだけど...」

一気に喋ってから、オレをチラっと見上げてすぐに目を逸らす。

「え...っと、隠し事ってそれ？」

何年前の話なの。
ってゆーか言わなかっただけで、やっぱ実はそうだったのかな？って勘付いてたけど、オレ。

何だ、ビックリした。
そんな事なら全然...

「...それだけじゃなくて...」

ホっと一安心してたオレに、Aはまだ話し続ける。

隠し事、一個じゃないの？
さすがにオレも、心臓が痛くなって来た。