ハロウィンは苺色に染めて。【短編合作×すとぷり】

△ ページ25

.









「Aちゃーん」




『う、るさいよ…』




昨日聞いた声が私の名前を耳元で呼んでくるもんだから、ぐっすり寝てたのに起きちゃいました。


でも目は開かず。




「トリックオアトリート」





『トリックオアトリートメント』




「トリートメントあげる」




『いらねえ』




起きてすぐ笑うこと何て、家ではほぼ誰とも話すことが無いのが独り暮らしだから、少し新鮮で楽しいかも。




『でも後何時間かで普通の猫に戻るんでしょう？』




と聞くと少し不機嫌そうにして、うんと頷いた。

何時間かって言うのは私が起きたのが31日の夜10時だったから。
ハロウィンの魔法はいつか溶けるからね。




『やった、また安全に過ごせるね』




「俺のどこが不安全だよ」





『あはは、明日からは猫として宜しくね』




さとみの不機嫌さはもっと増したけど明日からはキレられることも無いし。

でも、本当に本当にあの薬が効いたのは不思議




酔った友人に、飼い猫にこの薬飲ませたら人間になるんだってー、と言われて貰って来ちゃったんだよね。




『忘れて無かったら、来年もハロウィンに魔法かけてあげるよ』




「うん、待ってるわ」




チクチクと小さく響く時計の音を聞きながら携帯をイジっていると、12時になった。




さっきまでイケメンが隣にいたのに今見てみると桃色の猫が、何が言いたげにこっちを見ていた。

来年はもっと相手してあげるからね、何てね。









.

あとがき(1)→←△

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す